自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4防御力編 後編
Japan In-depth / 2016年11月13日 23時0分
陸自の装甲車は装甲も薄い。防衛省は公開していないが、軽装甲機動車の装甲は5.56ミリNATO弾や7.62ミリカラシニコフ弾に耐えられる程度だ。同じ7.62ミリ弾といっても世界で最も普及しているのは7.62×39ミリ(カラシニコフ)弾、7.62×54ミリ(ロシアン)弾、7.62×51ミリ(NATO)弾がある。7.62ミリは口径、つまり弾丸の直径でありその後数字は薬莢の長さだ。軽装甲機動車はカラシニコフ弾には耐えられるが、7.62×54ミリ(ロシアン)弾や7.62×51ミリ(NATO)弾は貫通する。つまりNATOの定める防弾規格のレベル1以下ということだ。
7.62×39ミリ(カラシニコフ)弾は主として、AK-47系列のライフルや分隊支援火器などに使用され、7.62×54ミリ(ロシアン)弾は機関銃や、狙撃銃ドラグノフなどに使用されており、紛争地域では多用されている弾薬である。しかも、最近の被弾した死体を解剖した調査では、300m以上の射撃距離ではほとんど命中を期待できない7.62×39ミリではなく、7.62×54ミリの命中による死亡例が多いことが判明している。つまり、射殺された将兵はAK-47でおびき出され、狙撃銃ドラグノフで仕留められているとも考えられる。
つまり軽装甲機動車は、カラシニコフ系のライフルで射撃されれば防げるが、ドラグノフ狙撃銃や機関銃や狙撃銃で撃たれれば蜂の巣になる。これは通常弾を使っての話だが、より貫通力が高い徹甲弾ならば尚更である。陸幕は紛争地にはカラシニコフ弾しか存在しないと思っているらしいが、それは願望にしか過ぎない。
そもそも軽装甲車は開発にあたり、防御力よりも安価であることが要求された。このため装甲板ではなく、高張力鋼が用いられている。また装甲車は被弾時に車内の装甲板の剥離によるスプリンターの跳躍が起こるが、これを防ぐために複合材によるスポールラーナーと呼ばれる内張りを用いることが多い。軽装甲機動車も計画時にはこれを採用する案があったが、コスト低減のために採用されなかった。
また当初は正面以外のガラスは防弾ではなかった。これらも実戦には使うつもりがないから、安ければ安い方が良いという発想だったのだろう。つまりは人命軽視の安普請の装甲車である。しかも不整地での走行性も悪く、事実上、警察などが使う治安維持用の装甲車レベルだ。しかも振動が多きく、車内容量が小さいために装備が十分に搭載できない。
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