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自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その5戦傷救護編

Japan In-depth / 2016年11月17日 11時0分

これは政治や納税者を騙す行為であり、防衛大臣がそのお先棒を担いでいるのだ。仮に有事が発生すれば死ななくても良い隊員が死に、手足を失わなくても良い隊員が手足を失うことになるだろう。その責任を防衛官僚や陸幕衛生部、そして防衛大臣は負えるのだろうか。

だがこのような重大な欠陥を、防衛記者クラブを始めとするマスメディアは調査も報道もしてこなかった。政治家もメディアも防衛省は有事に戦死者や戦傷者が出ることを想定していないことを理解していない。

防衛省も自衛隊も隊員の手足がもげ、内臓がはみ出し、全身を火傷したり、両目が見えなくなることを想定も想像もしてこなかった。だが、そのことを政治に対して正直に告げず、できないミッションをできますと説明し、政治もそれを鵜呑みにしてきた。

例えば米軍であれば足首から先だけを失う怪我で、自衛隊では大腿部まで切断して車椅子生活になったり、戦死するようなことになるだろう。またPKOなどで他国の軍隊や民間人の怪我人を適正に手当できずに、国際的な信用を大きく失墜させるだろう。その場合、他国から大いなる批判を受けることになるだろう。諸外国では子どもの手当用のキットも衛生兵に持たせているが、当然自衛隊にはない。

そのような事態が起きれば、内閣が飛ぶだけではすない。自衛隊は単なる張り子の虎であることを自ら世界に対して宣伝することになり、我が国の軍事的な抑止力は大きく後退することになる。

更に問題なのは、そのような損害の責任を現場の指揮官や隊員に押しつけられる可能性が強いことだ。ルワンダ派遣では外務省のレポートでは安全ということだったが防衛省が調査したら極めて危険であることが判明し、このため医療部隊のチーフは内科の医官から外科の樹医官に変更となった。これはメディアでは報道されていない事実だ。

ルワンダに派遣された部隊では医療部隊が銃撃され30分ほど伏せて難を逃れたことがあった。その時隊員たちはヘルメットも防弾チョッキも着用していなかった。本部の人間は後からヘルメットと防弾チョッキを着てやってきた。そして、この件では医療部隊も初めからヘルメットと防弾チョッキを着用していたことにしろと、口裏合わせを医療部隊に強要した。更に申しあげればこの派遣では高機動車が2輌盗まれた。だが、これらの事実はこれまた秘匿され、メディアの知るところにもならなかった。

自衛隊はこのような過度の秘密主義であり、当局の立場を忖度する記者クラブは真摯な追求を行わない。政権の失政をカバーするために、防衛省や幕僚監部が政権におもねり、現場の指揮官や隊員が「スケープゴード」にされる可能性は極めて高い。

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