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【大予測:医療】医師・看護師のアジア交流加速

Japan In-depth / 2016年12月29日 18時0分

このため、病院は、中年を過ぎて働きが悪くなった医師を高給で抱えていることができた。「学会だ。講演会だ。研究日だ」といって、休診する医師を終身雇用することができた。医師は特別待遇を享受してきた。ところが、政府が医療費を節減するために、診療報酬が下がれば、こんな悠長なことは続けられなくなる。

現に、最近は都内の医療機関は赤字のところが目立つ。2016年12月、エムスリー社がまとめたデータによれば、東京に本部を置く売上高の多い医療機関のトップ5のうち、4つは赤字だった。恩賜財団済生会の利益率はマイナス21%だった。中小病院になれば、さらに状況はきついだろう。現に、病院はコストカットに懸命だ。2016年には都内の超有名病院に労基署が入ったとの報道があった。(選択 2016年10月号「聖路加国際病院で「ボーナス遅配」 労基署監査で劣悪な労働環境が露呈」度を超した超過勤務、サービス残業をただすためだったという。この病院は残業代などを支払ったところ、ボーナスは遅配、「来年から基本給は減額される(病院関係者)」という。これが日本の医療の現状だ。

やがて、勤務医の年功序列賃金体系は崩壊し、働きに見合う給与しかもらえなくなる。今は若い医師も、このような試練に遭遇する。生き残りたければ、自らの付加価値を高め、新しい成長領域に進出しなければならない。

前出の夫妻にとってロールモデルになったのは、東京と福島を往復して被曝対策に従事する坪倉正治医師(プロフィール)、駅ナカでコンビニクリニックを立ち上げた久住英二医師(プロフィール)、星槎大学で看護師を対象とした通信制修士課程を始めた佐藤智彦医師(「医師としての自己変革 -清心事達-第2回」ハフィントンポスト日本版2015年3月29日佐藤氏記」)らだ。何れもリスクをとって、新しい分野に飛び込んだ。彼らのノウハウを求め、アジア各地から連携の申し出がきている。

医療でも、アジアが成長領域であるのは、言うまでもない。実は、すでにアジアで医師・看護師の争奪戦が始まっている。知人の上海在住の女性は「上海で働きたい医師を紹介してください。最近、共産党は規制を緩和し、一部の民間病院で外人医師が診療できるようになりました」と言う。知人の東大医学部の教授は、「医学誌もアジアからの論文は掲載されやすい」と言う。発展著しいアジアでは、欧米先進国とは対照的に、販売を増やせるからだ。我々の研究室も、上海、ネパール、フィリピン、ミャンマー、バングラデシュなどとの共同研究を始めた。権威ある英国の医学誌『ランセット』などに4つの短報が掲載された。

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