【大予測:メディア(新聞)】伝統メディアが反転攻勢に
Japan In-depth / 2017年1月4日 21時21分
こうした数字を見ると、新聞のデジタル戦略がうまくいっているとは到底思えない。その理由の一つは、新聞や通信社など伝統メディアがYahoo!ニュースなどの巨大ニュースプラットフォームに記事を提供している事だろう。月間152億PV(「Yahoo!ニュース月間150億PVの内訳を解説 スマホはPCの約2倍に」news HACK by Yahoo!ニュース 2016年10月5日)を誇るお化けプラットフォームに自社コンテンツを配信しないという選択はなかっただろうが、先の大学生アンケートにあるように、新聞記事は無料で読めるもの、という認識が当たり前になってしまった。記事はお金を払って読むものである、という概念がそもそも存在しなくなったことは新聞のみならず、週刊誌や月刊誌などすべての活字媒体に打撃を与えた。
そこで、デジタルの世界においてお金の取れるコンテンツ作りが必要となってくるわけだが、日本の伝統メディアは出足が遅れた。2015年にデジタル購読者数100万人を達成し、デジタル版の売上(2014年4億ドル=約480億円)を、2020年までに8億ドル(約960億円)へと倍増させる目標を設定しているニューヨークタイムズと比較して、日本勢のそれは大分見劣りする。筆者は読者がお金を払ってでも読みたいコンテンツ制作力が重要だと考えている。では、各紙の取り組みを見てみよう。
まず、英ファイナンシャル・タイムズを2015年に8億4,400万ポンド(当時のレート換算で約1,600億円)で買収した日本経済新聞だが、そのシナジー効果が出ているかと言われると懐疑的だ。まずウェブ版を見てみよう。そもそもトップのタブに項目が多過ぎて、どれから見たらいいかわからない。ファイナンシャル・タイムズの記事を読もうと思っても、タブの2行目に「FT」とあるだけで、高い買い物をしたわりに扱いの小ささに疑問すら湧く。せっかく良質なコンテンツがあっても読者の目に触れなければ意味がない。
また、デジタルコンテンツとして有望なインフォグラフィックス(注1)だが、上部タブにはそのカテゴリーがなく、スクロールすると下の方に「ビジュアルデータ」というコーナーがある。その中にある、安倍首相がアメリカ・ハワイの真珠湾を訪問した時の特集「真珠湾訪問ライブ」などは、写真と動画を多用し、記事に簡単に飛べるようリンクが貼ってあるので便利だ。それ以外にも、「データで探る日本の「発明力」世界で稼げるか」、「フリマvsオークション ネット売買の両雄比較」、「日経アジア300指数 データが示す成長力」、「セブン新体制、統治の構図とコンビニ40年」など興味深い記事が一杯だ。活字だけでなく、写真と動画を組み合わせており、若い世代にも十分アピールするものとなっている。が、折角のコンテンツもほとんどの人に知られていないだろう。
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