調査報道メディア「ワセダクロニクル」編集長に聞く (下)
Japan In-depth / 2017年2月19日 11時30分
あとそもそも確かに業界側から見たら「ステマ」という書かれ方をすると思うんですけど、我々は今回あえて「ステマ」という言葉を使わずに「買われた記事」というタイトルにしたというのは、これはやっぱり「ステマ」というのはマーケティング側の発想なんですよね。マーケティング側が営業上のルールを逸脱してしまったと、それはなしだろうというのが「ステマ」だと思うんですけど。
読者の立場に立った時にそれはマーケティングとかではなくてお金が絡んだ記事が自分のところに届くという、しかも今回は医薬品の記事・医療記事に絞っているんですよ。というのはやっぱり読者にとって、特に医療記事っていうのは患者さんが自分からすすんで、藁にも縋る思いで情報を探しているんですよ。そういうものに対してお金が絡んでいると。
「ステマ」っていうのは営業サイドに立っているわけですよ。それを立ち位置を変えて記事を書いたんです。とにかく今誰のために調査報道をやっているのかという原点を失っちゃいけないということで。既存メディアに風穴を新興メディアが開けるというような、そんな業界の話ではないですよね。そこはもう地道にまじめにやっていかないといけないなと思うんです。
■アクセルとブレーキ同時に思い切り踏む感じ
安倍:訴訟の話をちょっとしたついでなんですけど、ジャーナリストの書いた記事に対し、名誉棄損だなんだと抗議が来るのも覚悟の上ですよね?
渡辺:そのへんは今回はしっかり顧問弁護士を付けてですね、それで当然いろいろ協議したうえで(記事を)発射していますので。そこは気を付けないと、やっぱり、まぁ訴えられても勝てばいいわけですから。だから耐えるだけのものを相当こちらも準備をしている。
もちろん編集側の感覚としてここまでアクセル踏みたい、とかいろいろあるんですけれども、このへんはもうここでブレーキ踏みましょうとか。法律的な面で見たときにどうなのかというのは当然、いろんなシミュレーションをやったうえで、調査報道ですからやっぱり当局のせいというのはできない、自分たちの仕事で書いてますから。それは十分に対処している。
安倍:どこまでアクセルを踏んで、ここはちょっとブレーキを踏んでみたいな。
渡辺:調査報道で一番難しいのは、アクセルとブレーキを同時に思い切り踏みながら進む感じですよね。やっぱりただの“いけいけどんどん”でもだめだし、逆の立場になったときに、自分だったらこういう記事を書かれたらどういうリアクションを起こすのか、それに対してまた逆になったらということを、一人で両側の、矛盾、矛と楯じゃないですけど、それでも十分行けると思って始めて発射する。相当気を使っています。
この記事に関連するニュース
-
元衆議院議長に聞く!衆院選大敗で変わる国会運営 どうなる「103万円の壁」問題【国会トークフロントライン】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月23日 7時0分
-
「若い人がネットに飛びついて不十分な情報で判断しているという仮説に私は立たない」国民民主党玉木雄一郎代表
Japan In-depth / 2024年11月19日 18時31分
-
宮根誠司「大手メディアの敗北」兵庫知事選めぐり異例の言及「テレビの方がフェイク」の指摘も
日刊スポーツ / 2024年11月18日 5時0分
-
「103万円の壁」撤廃は実現可能か? 国民民主党玉木雄一郎代表が疑問に答える
Japan In-depth / 2024年11月13日 0時32分
-
新聞10紙を読んでも、得られるものが少ない…若き日の小泉進次郎氏がメディアと距離を取り始めた"苦い経験"
プレジデントオンライン / 2024年10月30日 9時15分
ランキング
-
1「フェンタニルは米国の問題」中国が反論 米中協力の「成果」を強調
産経ニュース / 2024年11月26日 23時4分
-
2メルケル前独首相、欧米協力訴え 中ロの脅威、トランプ氏にも懸念
共同通信 / 2024年11月27日 7時52分
-
3パキスタン、元首相釈放求めデモ激化=首都に軍配備、衝突で死者も
時事通信 / 2024年11月26日 20時41分
-
4政府が政労使会議開催、石破首相「今年の勢いで大幅な賃上げを」
ロイター / 2024年11月26日 13時46分
-
5北朝鮮軍将校ら英製ミサイル攻撃で死傷か、英紙報道 露弾道ミサイルは爆薬搭載せず
産経ニュース / 2024年11月27日 8時28分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください