防衛省に「文民統制」はない
Japan In-depth / 2017年3月19日 11時0分
筆者が書いたのが防衛省の内部資料ならばそうかもしれないが、一般向けの書籍でありそのような指摘は当たらない。また筆者がパリの航空ショーで米空軍及び、メーカーの担当者に確認した内容を「誤り」と決めつけていた。だが担当者が参照にしたのはウィキペディア、あるいは2ちゃんねる、自衛隊を批判する筆者に反感を持つアマチュアの軍事オタクのブログと思われる。せめて諸外国の軍事あるいは航空専門誌を購読している人間であれば犯さない間違いであった。さらには著者の主張には同意できないから誤り、という項目もあった。正誤表の意味すら作成者は理解していなかったのだろう。
諸外国の軍隊のように軍事のプロが使うリファレンス、例えば軍事専門出版社のIHSジェーンズ社のデータベースでも参照していれば、こういう胡乱なことにはならないはずだ。防衛省ではまともな公開情報のリファレンスさえ使用しないで書類を作っていることになる。
言うまでもないがウィキペディアはあやふやで誤りも多く、大学の論文でさえも、出典として使用が認められていない。この正誤表を作成した自衛官の軍事知識と教養のレベルは大学生以下の程度の低い軍オタレベルということになる。
筆者はこの件を陸幕広報室に質した。そのとき筆者は正誤表の全文を見せること、また作成した本人にどのようにこの文書を作成し、何を参照したのか尋ねたいと要求した。だが、当時の広報室は担当者を呼ぶこともなく、全文を見せることも拒否した。ただ51カ所の誤りの指摘は3カ所に減り、それがどこかだけは述べられた。
しなしながら、その3カ所の内2カ所は筆者が国交省の担当者に取材した部分であり、単に防衛省と国交省の見解の違いでしかなかった。つまり誤りは1カ所であった。更に申せば筆者が気にしていた数字の誤りが一カ所あったが、それは見落としていた。つまりは極めていい加減な書類であった。とてもプロの仕事ではない。
筆者はこのような胡乱な書類によって防衛省内部で専門家としての評判を著しく傷つけられたわけで、書いた本人から謝罪、釈明があっても然るべきだと思うのは普通だろう。またこの書類は部外秘でもない。にもかかわらず、書類の作成者の官姓名すら知らされず、全文の開示もされなかった。自衛隊は誤りを認めて、それを謝罪することを極めて嫌がる。これが自衛隊の情報開示の隠蔽の基本姿勢である。
筆者はこの件に関して2013年に小野寺五典防衛大臣(当時)に記者会見でなぜ該当文書を公開しないのか質した。それは当時防衛省の特定機密保護法の制定が話題になっていたからだ。上記のような機密文書でも無いものでさえも公開しない隠蔽体質の防衛省、自衛隊が、特定機密保護法が制定されば更に悪化するだろうと思ったからだ。
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