防衛省に「文民統制」はない
Japan In-depth / 2017年3月19日 11時0分
「暴力は暴れる力と書きます。コントロールが利かない力のことを暴力と言いますが、もし自衛隊に暴力装置という言葉を使うのであれば、自衛隊はコントロールが利かない力だということになります。
シビリアンコントロールが利いていないということを指してもし暴力装置ということにつながるのであれば、つまりシビリアンコントロールをしているあなたたちがコントロールできていないということになるわけですよ」(丸川珠代議員)
だが自衛隊は我が国最大の破壊力を持った組織であり、使い方を間違えれば大変なことになる。それを「暴力装置」と呼ぼうが「実力組織」と呼ぼうが変わりはない。だが与党自民党の議員たちは自衛隊を信じること、疑わないことが文民統制と主張したのだ。その結果が昨今の情報ねつ造問題を起こした遠因であるともいえよう。
強大な武力組織である自衛隊を国民の代表である国会、国会議員がきちんと監視・監督することこそが文民統制である。その意味では我が国は、文民統制は機能していない。
■記者クラブと当局のなれ合い
もう一つの問題はマスメディア、防衛省の記者会見や、取材機会を独占して、我々専門記者を含めて、記者クラブ会員以外のジャーナリストを排除していることだ。記者クラブは韓国も既に廃止し、いまあるのは我が国とジンバブエやガボンぐらいという。まともな民主国家ではこのような民間の一任意団体が当局の取材を独占することありえない。
2015年、北京での「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念行事について、産経新聞の記者に取材証が発行されていないことについて、菅義偉官房長官は「記者の扱いは平等に行うことは民主国家として当然だ」と中国を非難したが、それは我が国も同じである。
この記者クラブ制度が当局とのなれ合いを生み、我々専門記者を排除することによって、実質的に当局のへの知る権利の防波堤になっている。
先の正誤表の問題でも筆者の質問に対して防衛省記者クラブのNHKのキャップが筆者にそのような質問をするなと圧力を掛けた。(注1)
そのキャップは大臣が不快に思うような突っ込んだ質問をすると防衛省と記者クラブの関係が悪化するのを防ごうと思ったのではないだろうか。筆者は当時外国メディアの代表の資格で記者会見に出席していたが、記者クラブ会員の記者が大臣や幕僚を追い詰めるような質問を聞いたことは一度も無かった。
普段から防衛記者クラブが執拗に情報公開を迫り、また常に緊張感ある質問や取材をしていれば今回のような、防衛省や自衛隊が世間を舐めきったような嘘をつくことも無かったかもしれない。
いずれにしても、文民統制を無視する自衛隊、そしてそれを管理する能力が無い防衛省に対しては政治や、メディアは徹底した監視を行うべきである。そのためにも記者クラブという当局とのなれ合い組織は廃止すべきだろう。
■参考:
『記者クラブ』というシステム〜防衛省大臣記者会見後で非記者クラブ会員に圧力をかけるNHK記者の存在 ①
『記者クラブ』というシステム〜防衛省大臣記者会見後で非記者クラブ会員に圧力をかけるNHK記者の存在 ②
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