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防衛省に「文民統制」はない

Japan In-depth / 2017年3月19日 11時0分

この件に関しては後日報道官から該当書類は内部文書であり、情報公開の対象になっていない。故に公開しないというものであった。当然ながら正誤表を作成した担当者も、その監督責任がある上司も処罰はされなかった。このようなだんまりを決め込めば許される、逃げれば勝ちで、情報公開を忌避する体質が故に、その時々で、反省もしないし、外部からの監視が届かなくなるのでモラルハザードを起こし易くなっている。そして自衛隊という組織では隠蔽が文化となっているのだ。

この件が問題化されなかったために、現在でも防衛省、自衛隊では極めていい加減な情報を元に政策が策定され、予算が要求され、また政治家に対する「ご説明」(政治家に対するレクチャーはこう呼ばれている)がなされている可能性が高い。これでまともな国防が全うできようか。

■文民統制の自己放棄

どこの組織でも組織防衛をしようという本能は持っている。できれば不都合な情報は闇から闇に葬りたい。これを防ぐのは情報公開しかない。国防上の機密以外の情報は積極的に開示すべきである。機密書類も他の民主国家同様に原則、期間を決めてそれを過ぎれば公開すべきである。防衛省、自衛隊にはその姿勢が全くない。

これは防衛省、自衛隊だけの責任ではない。政治とメディアにも大きな責任がある。彼らが適正な情報公開を要求してこなかったからだ。例えば防衛装備にしても政治家は基本的な情報を与えられていない。現在調達されている10式戦車が一体何輌がいつまでに調達されるのか、国会は知らされていない。にも関わらず、国会は予算を通してしまう。全く知らないこと予算内容を了承するのだ。他の民主国家でありえない。

予算と人事は文民統制の根幹であるが、予算に対するまともな情報が与えなれなくとも予算を通すのは無責任であり、文民統制の自己放棄である。

特に与党自民党は文民統制のなんたるかを理解していない。2010年、民主党政権当時の仙石官房長官が自衛隊を「暴力装置」と発言したために、当時の野党だった自民党がこれを攻撃、仙石氏および民主党は脊髄反射的にこれを陳謝するも、自民党は執拗に攻撃を続けた。この時、自民党の有力議員である世耕弘成、佐藤正久、丸川珠代の諸議員らは国防に献身している自衛隊を疑うとは何事かと追求し、自衛隊を盲信することこそ、文民統制と主張して仙谷氏を攻撃した。

「仙谷官房長官から我が国の自衛隊に対して、暴力装置というとんでもない表現が出てきました。国の根幹である国防に命を懸けて取り組み、また日本の国際貢献に汗をかいているこの自衛隊の方々にとって大変失礼極まりない、とんでもない発言であると思います」(丸川珠代議員)

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