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災害派遣に不向き「AAV7」

Japan In-depth / 2017年7月28日 9時42分

例えばこれら非装甲型30輌ぐらい消防庁か国交省あたりの予算で調達し、消防などで運用し、整備は自衛隊が担当してはどうだろうか。整備や運転者は自衛隊退役者を再雇用した会社を作って、そこで行い、整備とその予算は防衛省が持つ。有事には運用者を現役復帰させて、兵站車輌として自衛隊の部隊に組み込むのだ。これならば災害に有用であり、国防にも寄与するし、防衛費も低減できる。


繰り返すがAAV7の導入は間接的なエビデンスを見る限り、政治的な「天の声」があったのは確実だろう。しかも無責任に調査を端折って役立たずの装備の採用を決定しただけではない。AAV7を導入するならば米海兵隊の中古の余剰在庫で十分で、海兵隊もそのようにアドバイスしていたようだ。中古といってもリファブリッシュして新品同様になるのだが、アメリカの企業(BAEシステムの米国の子会社が製造)に儲けさせるためか、「お古は嫌だ」と駄々をこねたのか、新造品を発注した。いずれにしても税金の無駄使いであり、納税者の理解を得られる所業ではない。


その上52輌のAAV7は既存の海自の輸送艦では輸送できない。現用のおおすみ級輸送艦はAAV7だけでいっぱいになるので、本来必要な隊員や燃料、食料、弾薬などの物資、トラックや施設科の資材などを運べない。DDH(ヘリコプター護衛艦、事実上のヘリ空母)の輸送能力をすべて動員してもまともな揚陸作戦はできないだろう。


海自は将来新型揚陸艦を導入するがその仕様の詳細も全く決まっていない。新しい揚陸艦ができるまで、3個中隊のAAV7の内、2個中隊は遊兵化することになる。これが通常型の水陸両用装甲車ならばPKOやその他の任務にも使えるがそれもできない。にもかかわらず多くのAAV7を調達したのだ。


また以下のようなカナダ、ARGO社の低圧タイヤを装備した車輌も消防では採用されている。


http://www.sms-argo.com/jp-argo


http://www.sms-argo.com/other/938



画像⑥:南ア陸軍のゲッコー ©清谷信一


実は英空挺部隊ではこれと酷似したスパキャット社のスパキャットをかつて空挺用車輌として採用していた。水陸両用で不整地踏破性能が高く、搭載能力もサイズの割には大きい。また南アフリカ陸軍の空挺部隊でもアルゴ社のシステムを採用した同様の8輪車輌、ゲッコーを採用している。ゲッコーもスパキャットも専用の牽引式トレーラーを装備している。空中投擲が可能であり、あらゆる地形で、パラシュート降下し広範囲に散らばった将兵や装備をかき集め、またウエポンプラットフォームとしても使用される。


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