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災害派遣に不向き「AAV7」

Japan In-depth / 2017年7月28日 9時42分

例えば陸自の第一空挺団でこのような車輌を採用することも検討すべきではないだろうか。既存の1/4トントラックや高機動車よりも遙かに高い不整地踏破能力、搭載力を有しており空挺作戦は勿論、水陸両用戦、災害派遣に有用だ。


陸自の装輪装甲車はすべて水陸両用機能を有していない。これはコマツの設計陣が我が国の河川は流れが速いから必要ない、と言ったことを陸幕が全く検証もしないで真に受け、水陸両用機能は不要という仕様要求をしてきたからだ。このような思いつきや思い込みを鵜呑みにして、まともな検証も試験もしないで装備を開発・調達するのが陸上自衛隊という組織である。これまた当事者能力と、当事者意識が欠けているとしか言いようがない。


しかも96式装甲車や軽装甲機動車は、そもそも舗装道路で使用することを前提とされているので、悪路ではスタックすることが多い。これでは軍用装甲車とはいえず、警察用の装甲車である。例えば96式装甲車などがパトリア社のAMVやスイスピラーニャのように高い不整地の機動性と、水陸両方機能を有していたら災害派遣も有効だろう。恐らくは東日本大震災でも活躍したに違いない。



画像⑦:陸自の96式装甲車。水陸両用機能は付加されていない。©清谷信一


また陸自は野外炊事能力も極めて低い。陸自には中隊規模用(200~250名用)の牽引式炊事システム、野外炊具1号しかなく、炊事能力が不足している。またシステムが無天蓋なので、強風や豪雨では炊事が極めて困難になる。しかも人員不足で演習では食事の準備に普通科から「兵隊」がかり出される。実戦でこんな悠長なことができるだろうか。


東日本大震災では自衛隊は被災者には暖かい食事を振る舞ったが、隊員は冷えた缶詰の飯を喰っていた。これをメディアは「美談」として紹介していた。だがこれは単に兵站軽視で、隊員に無用な負荷かけているだけだ。「このような美談」はアッツ島やガダルカナルでの玉砕=全滅や無謀なインパール作戦を礼賛するのと同じセンス、メンタリティーである。


陸自には先進国は勿論、トルコやシンガポールですら有しているコンテナ式の給食、食堂システムが無い。このようなコンテナ式の給食システムは嵐など過酷な環境でも炊事や食事可能である。それは被災者にも恩恵があるが、隊員の士気と能力を維持するためにも必要である。またこれはPKOなどでも非常に必要なシステムである。その反面、アメリカ軍の10倍も高い機関銃買うなどして予算を無駄使いしている。


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