北朝鮮守るアジアの冷戦構造 金王朝解体新書その11
Japan In-depth / 2017年9月16日 17時45分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
「林信吾の西方見聞録」
【まとめ】
・北朝鮮のミサイルの精度は向上している。それは即ち、誤爆の可能性が低くなったことを意味する。
・米と中露はそれぞれの思惑で北朝鮮の崩壊を望んでいない。
・日韓はこうした「冷戦構造」がアジアに存在していることをまず理解することから始めねばならない。
北朝鮮による核・弾道ミサイルによる威嚇が続いている。
前回述べた通り、キム・ジョンウン(金正恩)委員長の本音は、すでに準備の最終段階に入っているとまで言われる「斬首作戦」中止の言質を得ることであると見られるが、と言って、ミサイルが日本近海に着弾したり、列島上空を飛び越えてゆく事態を看過するわけには、とても行かない。
ただ、明日にもミサイルが列島を直撃する、という可能性については、かなり低いと私は考えている。理由は、皮肉な話だが、北朝鮮のミサイル技術が長足の進歩を遂げているからだ。
▲写真 2017年9月15日早朝に発射された北朝鮮のミサイル情報を伝えるJアラート=全国瞬時警報システム 出典:NHKニュースより
ミサイルの制度について語るのに、「半数必中界」という表現がしばしば用いられる。半数必中界が10㎞と言った場合、50%以上の確率でその範囲内に着弾する、ということだ。この数値が小さいほど精度が高い、ということになるわけだが、数千㎞先の半径10㎞圏内であるから、狙って落とすのはかなり大変だということは、容易に想像がつく。
北朝鮮が弾道ミサイルを開発中、という情報が日本にもたらされたのは、1990年代に入ったばかりの頃だが、当時は、半数必中界は20㎞以上、より具体的には、国会議事堂を狙って撃った場合に、山手線の内側に着弾するかどうか、くらいの精度だと言われていた。
ところが、本年8月に日本海に着弾した弾道ミサイルについて、北朝鮮側は「標的から数メートルの位置に着弾させた」などという宣伝を、さかんに行った。日米の軍事専門家たちの意見は、右の宣伝はいくらなんでもハッタリだろうが、半数必中界が2~3㎞というところまでは精度が向上したのではないか、というあたりで、おおむね一致している。
それだけの精度を得ているということは、たとえば駆動系のトラブルが生じて軌道を大きく逸れたような場合、早期に自爆させることなど容易なので、日本列島に対する「誤爆」の可能性は小さくなったと見てよい。問題は、北朝鮮のミサイル技術が、なぜそこまで進歩したのか、ということだ。
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