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急加速するドイツ車EV戦略 

Japan In-depth / 2017年12月21日 11時39分

図)主要国における自動車販売台数の予想
出典)一般社団法人日本自動車工業会より

 

■独3社のEV戦略 VW

ここでジャーマンBIG3各社のEV戦略を振り返る。VWだが、先に“ロードマップE”と呼ばれるEV戦略を発表、2025年までに30種類以上のEVを投入することで年間最大300万台のEVを販売、そのうちの約半分が中国販売という超意欲的なものである。

その時点でのVWの世界販売計画は1,200万台であり、全体に占めるEV比率は25%に達する、2030年までには、VWの全300車種にEVを設定する。これを達成するために、200億ユーロの研究開発投資を実施する。

写真)ロードマップ Eを発表するフォルクス・ワーゲン(VW)最高責任者(CEO)のマティアス・ミュラー 
出典)フォルクスワーゲングループメディアサービス

 

またVWの面白いところはその“プラットフォーム戦略”であろう。現在の車体の骨格をなすプラットフォームはここ数年で急速に“MQB”と言われる新型プラットフォームに取って代わられているのだが、2018年以降はこのEV専用プラットフォームである“MEB”が急速に増加するという。

写真)MQB
出典)フォルクス・ワーゲンホームページ

 

写真)電動車用に開発した新世代のモジュラープラットフォーム「MEB」(Modular Electric Platform)を採用した最初のイメージモデル「I.D.」
出典)フォルクス・ワーゲンホームページ

 

2030年にはEVが全体の3分の一を超え、この“MEB”が主力に躍り出る。汎用プラットフォームを活用し、ガソリンもディーゼルもHVもEVも“MEB”上でバリエーションを育てる形式から、EVの販売台数がある一定規模に達した後は、それ専用の“MQB”プラットフォームで対応するということだが、過剰な2重投資となってリスクが大き過ぎると懸念する向きは多いと聞く。

今一つVWで興味深いのが、EV用電池の調達のために、2025年までに500億ユーロを充てると計画している点である。EVの拡販には、当然その生産コストの大幅な削減が必要であり、これは生産コストの半分を占める電池コストの下落を指す。

リチウムイオン電池の価格は、1KWh当たり、2010年には800ドル程度であったものが、現在は150ドル前後と、この8年で約80%下落したと推定される。これが2020年には100ドルを切り、2025年には50ドルとも言われる。この時点で、電池に大量に使用されるリチウムやコバルトの需給や価格がどうなっているのか、更に安全・小型・安価と言われる全固体電池の商品化が進んでいるのかなど、不透明要素もかなり多いものの、VWは電池価格の大幅低下を想定した調達コストを提示、これが彼らの今後のEV大増産計画の前提になっているのである。

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