急加速するドイツ車EV戦略
Japan In-depth / 2017年12月21日 11時39分
■独3社のEV戦略 ダイムラー
一方のダイムラーだが、2022年までに傘下のスマートブランドを含めた全ての車種にEVを設定する。2020年までにEV専用のプラットフォーム“EQ”を開発、シリーズ化して今後10車種以上のEVを投入、米国ではEVのSUV“EQS”を生産、全世界販売に占めるEV比率を15-25%と予想する。ダイムラーは、駆動トルクが高いEVは、高級車に最も親和性が高いと信じているフシがある。つまり内心では、米国のTeslaが競合の本命であり、Teslaから高級EV車市場でのシェアを取りかえす作戦であろう。
写真)パリモーターショーで発表された電気自動車“Concept EQ”
太陽光発電システムによって生成される電力用の固定エネルギー貯蔵ユニット。
出典)メルセデスベンツホームページ
■独3社のEV戦略 BMW
最後にBMWだが、既に一歩先を行っており、5年前から“i”シリーズを展開、EVを拡販中である。但し、現在投入しているi-3と i-8は、当初の販売計画を大幅に下回って推移している。価格が高いこと、航続距離が短いこと、充電施設が少ないこと、とまさに、EVが普及しない要因を全て揃えていると言ってよい。莫大な開発費用がかかっていると思われ、事業としては大きな損失を出し続けている。
写真)BMW i-8
出典)BMWホームページ
但し、今回のフランクフルトモーターショーでは今後の開発スピードの加速化を言明、やはり2020年までにEV専用のプラットフォームを開発、2025年までに14車種、世界販売に占めるEV比率(PHVを含む)をやはり15-25%と計画する。3シリーズや5シリーズ、X3やX5などのSUVへの展開、また小型車ブランドの“MINI”へも、EVバーションを2019年にも投入する。
勿論ダイムラー同様、既にi-8という高級EVスポーツカーを販売しているBMWとしては、やはりTeslaが目の上のタンコブであり、高級車市場での競争を本格化させる意図はありありと感じられる。
中国のNEV政策がまもなく始まり、中国企業の底上げを意図したEVプロモーションが始まる。これに続いて、インドやタイまでも、2030年以降はEVしか販売させないと言い出す始末である。これはEVに対する知識が著しく欠けている素人政治家が、政治的パフォーマンスを見せているという側面が強いのだが、現実的ではないと切って捨てることもなかなか難しい。世界的に、自動的に、“EV=環境に優しい”という認識が定着しているからであろう。
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