真夏の東京五輪、見直すべき
Japan In-depth / 2018年2月17日 12時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・2020年の真夏のオリパラ、熱中症が心配。
・IOCが開催時期を夏に設定したのは収入に有利とみたため。
・秋かまたは春に変更したらどうかと提案したい。
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大成功を収めた1964年の東京オリンピックに次いで、2回目となる東京オリンピックは2年後の2020年7月24日から8月9日までの17日間、パラリンピックが同年8月25日から9月6日までの12日間にわたって行われることになっている。
56年ぶりのオリンピックの主催とあって国民の期待も大きそうだが、実は最も気になる点は“真夏のオリンピック”となることだ。熱中症などで選手や観客がバタバタと倒れる事態となったら“おもてなし日本”など、全ての評判が台無しとなる。今からでも好天の続く秋かまたは春に変更したらどうかと提案したい。
1964年に東京で初のオリンピックを開くことになった時、大会関係者や政府が最も悩んだのは開催期間をいつにするか、という点だった。初日の開会式はもちろん、期間中も好天でしのぎやすい日和の続くことが最優先事項だったからだ。
初の東京オリンピックは10月10日から始めることを決めた。敗戦から立ち直った日本の姿をオリンピックという世界中が注目する舞台から世界に示すのだ、というのが当時の日本人全体の意気込みであり願いだった。実際、東京オリンピックはその後の日本の高度成長へのジャンプ台の役割を果たし、4年後の1968年には国民総生産(GNP)でアメリカに次ぐ世界第二位となっている。
それだけに当時の日本オリンピック委員会は、オリンピック期間と、とりわけ初日の開会式をいつにするかについて国をあげて真剣に検討した。数年間の気象状況を調べ、オリンピック期間中に最も気候が安定、晴天の日が続いて選手や観客が最も過ごしやすい季節と日々を気象庁はじめ学者などが総力をあげて調査したのである。
その結果、「10月10日開会式」が決まったのだ。ところが前日の10月9日は雨模様だった。関係者は「あれだけ調べて一番晴天の確立の高い日を選んだのに・・・」と深刻な表情で雨空を仰ぎ「明日は晴れますように」と念じたという。
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