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米朝交渉 非対称な非核化と安全の保証の取引

Japan In-depth / 2018年6月22日 23時39分

▲写真 米朝首脳会談の会場となったシャングリラホテル(シンガポール) 出典:シャングリラホテル

米朝首脳会談の準備にあたっていた米朝双方の実務レベル交渉チーム(米側代表:ソン・キム駐フィリピン米大使(元六カ国協議担当特使)、北朝鮮側代表:崔善姫外務次官)は、それまで板門店で6回にわたる事前交渉を実施してきた。この交渉チームは首脳会談の前日にも少なくとも3回、市内のリッツ・カールトンホテルでの協議を進め、最終調整が終わり宿泊先に戻ったのは、会談当日の12日未明のことである。金正恩委員長が前日夜にシンガポール市内各所を上機嫌で視察していた同時刻に、米朝の共同文書の最終的な詰めを行っていたことになる。

▲写真 ソン・キム駐フィリピン米大使 出典:US State Department

過去数カ月にわたり北朝鮮との実質的交渉を指揮したポンペオ米国務長官は、11日午後にJWマリオットホテルで開催された記者会見で、首脳会談にむけた交渉が順調に進んでいることを示唆した。この会見でポンペオ長官は「朝鮮半島の包括的で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」のみが米政府の受け入れられる結論であると強調した。傍点の「朝鮮半島の」と前置きした理由について、北朝鮮の一方的な核放棄ではなく米国側から与えられる「安全の保証」が含まれているからだと説明した。そして北朝鮮に対して「過去とは異なる独自の安全の保証を準備している」とも仄めかした。

この10日前の6月1日時点では、トランプ大統領は訪米した金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長とホワイトハウスで会見し、その後の記者会見で「米朝会談は成功するだろう」が、「会談で何かに署名することはないだろう」と合意文書の署名に至らない認識を示していた。

▲写真 金正恩北朝鮮委員長からの親書をトランプ米大統領に手渡す金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長 出典:twiiter @Scavino45

ポンペオ長官の自信に満ちた発言は、この10日間で米朝の実務者協議に急速な進展があったことを示していた。米朝首脳会談では非核化の定義の共有、米朝によるCVIDの確認、具体的な非核化プロセスの合意、米国による安全の保証の提供、朝鮮戦争の終戦宣言や平和協定の締結交渉の開始など、具体的な合意が発表されるのではないか、と期待が高まったのだ。

 

■ 米朝共同声明:「曖昧な非核化と安全の保証」の枠組み

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