小火器の国内生産は必要か
Japan In-depth / 2018年7月26日 18時0分
このような最新型光学照準器を搭載した小銃を有した部隊と、旧式化した89式を装備した部隊のどちらが有利か言うまでもないだろう。しかも調達は長引いて戦時用の予備の備蓄も存在しない。
そもそも自衛隊の調達の完了、旧式装備との換装期間が明らかにされずに国会が予算を承認するのは異常だ。国会議員ですら10式戦車や89式小銃の調達がいつ完了するか、いくら予算が必要なのか知らない。これで初年度の予算を通すのは無責任だ。他所の民主国家ではありえない話だ。時間と総予算という概念がなく、国会はまともに予算を審議していない、ということだ。これでは文民統制がなされている民主国家とは言えない。
本年度の機関銃MNIMIも高い。来年度の防衛省予算案の資料を見ると、48丁で2億円とある。これで計算すれば調達単価は416.6万円となる。だが、これは誤りである。朝日新聞の谷田邦一記者が防衛省に問い合わせたところ、要求金額は1.56816億円で、調達単価は327万円である。車輛や航空機などに較べて単価が低い装備は、本来であれば四捨五入して1.57億円とでも記載すべきだ。高いものを安く書くよりはましだが、敢えて誤解を招く数字を出すのは如何なものか。陸幕には国産小火器の調達価格が高いという意識がなく、無頓着、鈍感ということだ。
米軍のMININI、M249はFN社が現地生産しているが、調達価格は約40万円である。陸自の調達単価327万円は約8倍である。しかも米軍のMINIMIはレールマウントなどが追加され、改良が加えられた新しいタイプだが、自衛隊のMINIMIは既に生産が終わっているMk.Iである。これを勘案すれば実質的な値段の差は更に開く。
▲写真 MINIMI ©清谷信一
しかも長年ライセンス生産してきた住友重機械工業は検査データをごまかしてきたことが発覚している。メーカーも自衛隊も不具合は直ったとしているが、本当だろうか。長年オリジナルと同じ信頼性が実現できなかった、その程度の技術力の企業が僅か半年ほどで不具合を改修できたのだろうか。
工学的な知識がある人間なら「大本営発表」と疑うのが普通だろう。逆に能力があって長年ごまかしをやっていたのであれば、同社は信用に値しない企業ということになる。同社は7.62ミリの74式機銃、12.7ミリM2機銃なども製造しているが、防衛省はこの3年これらの機銃を発注していない。防衛省は、例えば、用途廃止となった戦車や装甲車両などから取り外したものを再利用しているためと説明するが、それがここ3年でしかないのは極めて不思議だ。
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