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小火器の国内生産は必要か

Japan In-depth / 2018年7月26日 18時0分

では、それまでまだ使える機銃を廃棄してきたのだろうか。発注を再開できないなにか複雑な理由があると思われても仕方あるまい。今後も74式や12.7ミリ機銃の調達が停止したままでは、同社の防衛部門の存続を支える売上を維持するのは不可能だろう。そうであればMINIMIも含めて、輸入に切り替えるべきではないか。


事実、海幕は国産MINIMIの価格高騰に嫌気がさして、機銃を輸入に切り替えることを検討しているという。海自や空自が輸入に切り替え、陸自の調達だけとなれば、調達単価は更に高騰する。それを税金で支える意義があるのだろうか。


国産開発の短機関銃である機関拳銃の調達単価は約44万円であり、ほぼ同じランクのミニUZIの10倍以上だ。しかもストックがなく命中精度が極端に悪い、ヤクザの出入りぐらいでしか使い道の無い駄作であり、メーカーは勿論、指導した陸自装備部の能力が欠如していたとしか言いようがない。費用対効果を考えれば、価格差は20倍を超えるだろう。



▲写真 9mm機関拳銃 出典 flickr: JGSDF


機関拳銃の用途は、単に89式をカービン化すれば済んだ話だ。それをミネベアに仕事を振るためにわざわざ発注したわけで、企業ビジネスの維持のために自衛隊の戦力を弱体化したことになる。9ミリ拳銃はSIG2220をミネベアがライセンス生産したものが、これまたオリジナルの3倍も調達単価が高い。9ミリ拳銃は最近の拳銃の半分程度の装弾数しかなく、レイルマウントも装備されておらず完全に時代遅れだ。更にホルスターに至っては第2次大戦レベルで、とても現代戦には適していない。



▲写真 自衛隊の9ミリ拳銃 ©清谷信一


国産擁護をする人たちの主張は概ね有事における増産、一定の稼働率の確保、開発・生産基盤を持たないと海外と交渉できない、などを理由にする。筆者も適正な価格と能力が維持できるであれば、国産を否定するつもりはない。だが現状、とてもそれが実現できていないどころか、まともとは言えないレベルの惨状である。


そもそも有事に増産は殆ど不可能だ。毎年の調達数が極めて少ないために、熟練工が少なく、ラインを下請けレベルまで含めて僅かな期間で数倍に拡大するのは不可能だ。また、設計担当者も精々一生に1回設計する機会があれば良い方であり、これでまともな製品設計をするのは不可能だ。更に毎年の売上が少ないために、設備投資や研究開発費に投資ができない。


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