自滅する国産機関銃 輸入へ切り替え
Japan In-depth / 2018年8月7日 23時51分
清谷信一(軍事ジャーナリスト)
【まとめ】
・機関銃の国内調達は危機的状況。近く輸入への切り替えも。
・高価格、発注数減、性能不足、データ改ざん。国産が絶望的な理由。
・国産より安価な外国製の集中調達による戦時備蓄が有事に有用。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て掲載されないことがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41406でお読みください。】
自衛隊の国内生産による機関銃の調達は危機的な状況を迎えている。近い将来自衛隊の機関銃は国産から輸入に切り替わる可能性が高い。
現在自衛隊では5.56ミリMIMINI、7.62ミリ74式機関銃、12.7ミリM2重機関銃を使用している。MINIMIとM2はベルギーのFN社のライセンス生産品である。MINIMIは7.62ミリ62式機関銃の後継として採用された。74式は国産汎用機関銃である62式を原形とした車載機関銃で、主として戦車などの同軸機関銃やヘリのドアガンとして利用されている。弾薬はNATO弾に準じているが、威力の低い減装弾を使用している。1962年に採用された62式は既に一線部隊から退いている。
▲写真 74式機銃(下段)©清谷信一
▲写真 10式戦車に搭載されている12.7ミリ機銃 ©清谷信一
これらは全て住友重機械工業株式会社(住友重機)が製造を担当しているが、諸外国に比べて概ね6~8倍の高い調達単価となっている。2018年(平成30年)4月6日の財務省の資料によれば、防衛省のMINIMIの調達単価は2017年(平成29年)度で327万円、米国の調達単価46万円の約7.2倍となっている。
因みに輸入しているオーストラリア軍のMINIMIの調達単価は49万円である。だが陸自のMINIMIは古いMK1相当に対して、米軍が採用したM249PIPは銃床の変更やレールマウントの追加などの改良が行われており、実質的な価格の差は8倍以上となるだろう。
問題は価格だけではない。2013年(平成25年)、住友重機が40年以上も防衛省に納めていた機関銃などすべての種類の性能や耐久性などのデータを改ざんし、防衛省が定める発射速度や目標命中率などの基準を満たさないまま納入していたことが判明した。(※住友重機の発表文)
2014年(平成26年)10月21日、防衛省での記者会見で、武田博史報道官は筆者の質問に答える形で、住友重機械工業が製造している機関銃3種類を2014年度は調達せず、2015年度予算においても調達しないと述べた。
この記事に関連するニュース
-
自衛隊が挑んだ“大規模リアル射撃訓練”の顛末 戦闘機も出動し「海のギャング」一網打尽 地域の風物詩だった時代
乗りものニュース / 2024年4月23日 16時12分
-
イギリス最新戦車「チャレンジャー3」最後のプロトタイプ納入へ 何両造って運用はいつまで?
乗りものニュース / 2024年4月23日 11時12分
-
自衛隊機は過去にも死亡事故が多発 捜索救助や訓練など過酷な飛行条件で運用
産経ニュース / 2024年4月21日 18時3分
-
“令和の陸自ヘリ” 新型機「UH-2」調達数が爆増へ! どこで見られる?
乗りものニュース / 2024年4月17日 16時42分
-
フーシ派向けの武器は「ウクライナへ送ります!」アメリカ軍 不審船から押収品を無償供与へ
乗りものニュース / 2024年4月16日 15時12分
ランキング
-
1自民集会で岸田首相退陣求める声
時事通信 / 2024年4月27日 19時52分
-
2墜落した2機の海自ヘリ、潜水艦探知の高度な戦術訓練中に衝突か…闇夜の低空飛行は計器頼り
読売新聞 / 2024年4月27日 21時0分
-
3日本人はプラ削減意識が低い? 国際調査で「最下位」
共同通信 / 2024年4月27日 15時52分
-
4パイプ銃を自作し所持した疑い、逮捕の男「こんな国にした者らを攻撃することを想像していた」
読売新聞 / 2024年4月27日 15時7分
-
5雪が解けて発見に至ったか 巻機山山頂付近で中年男性とみられる遭難者を発見 その場で死亡確認
BSN新潟放送 / 2024年4月27日 12時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください