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バチカン、依存症問題解決に本腰

Japan In-depth / 2018年12月9日 12時27分

これら「薬物をめぐる法的な問題」のセッションで最も関心を集めたのは、大麻合法化問題についてであった。日本でも、話題となったのでご存知の方も多いかと思うが、2018年10月17日にカナダで嗜好用大麻が解禁となった。これまで嗜好用大麻を解禁しているのは、南米ウルグアイと米国ではカリフォルニア州他9州と首都ワシントンD.Cであったが、カナダは先進国初の国をあげての試みということで賛否両論が今も渦巻いている。



▲写真 大麻草 出典:pixabay; chrisbeez


またポルトガルでは、合法化ではなく「非犯罪化」がすすめられ、違法薬物の少量の所持や使用は、刑罰で罰し刑務所へ入れるのではなく、治療に繋げるという方針がとられ、大きな成果をあげている。


この度の会議では、登壇者のうち特にヨーロッパの薬物政策を取りまとめている機関の代表者が合法化に賛成の姿勢を示し、「ただ合法化するのではなく、バランスアプローチ=総合的な取組みが大事。」と答えた。


このあたり一般の方々には分かりにくいと思うので、私なりの解説を少し加えたい。合法化賛成派は、非合法化では依存症問題は解決しないことと、非合法化によるデメリットも大きいと考えている。例えばこの後、台湾の医師が、国内とアジアの薬物問題に触れたのだが、アジア諸国の中で、「日本は最も多くの薬物が規制されており、規制の少ない台湾や中国では薬物問題で病院に運ばれてくる人が多いが、日本では病院に入院する人は非常に少ない。」と発言した。これはもちろん規制していないために総体数が多いともとれるが、逆に言えば顕在化してくるというメリットがある。


そもそも日本の場合はなんでもかんでも規制が入り非合法化されているために、「患者」ではなく「犯罪者」とみなされ、診療を病院が受付けないという大問題がある。また、非合法化しているために、当事者・家族は困っていても誰にも相談できず問題が潜在化しているのである。


そして日本では人体に殆ど害がないとされているRushの個人使用ですら逮捕されるが、逮捕によって職場を懲戒解雇されるなど、重すぎる処分を受け社会から排斥されている。これは決して良い結果にはなっておらず、むしろ居場所を失った人達が、薬物依存症になってしまう危険性が増すばかりである。


さらに数年前に日本中で騒がれた危険ドラッグの害について考えてみて頂きたい。当初「合法ハーブ」と呼ばれたものは、成分がどんどん規制されていったことからイタチごっことなり、何が入っているか分からないものが出回るようになっていった。そのため人体への害や周囲への危険が増し、事故が多発、一般市民も巻き込まれ多くの被害者が出ることになった。我々依存症の世界に身をおく者の間では、「覚せい剤をやめようと合法ハーブに移ったが、あまりに危険が増したため、覚せい剤に戻った人が多い。」という笑えない話がまことしやかに流布されたものである。


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