バチカン、依存症問題解決に本腰
Japan In-depth / 2018年12月9日 12時27分
これら非合法化のデメリットを鑑みて、合法化の流れを検討しようというのが現在の世界の潮流である。ヨーロッパでは、今のところ大麻の生産は禁止されているが、国内で大麻を生産しクオリティを保とうという試みも検討されているそうである。
もちろんこの合法化の流れに対しては、反対意見も根強くある。会場からもカナダの出席者から「自分たちは大麻解禁に反対である。反対意見の根拠及び援護射撃となるような説を教えて欲しい。」との質問があり、先述のUNODCオーストリア支局長は、「アメリカやカナダの動きは、国連条約に反している。」と発言され、一部で拍手が起きていた。
あやうく合法化、非合法化でバトルになりそうな気配であったが、座長を務める司祭様が「ここはそういう場ではない」と止めに入り、合法・非合法双方の意見を述べるにとどまった。
次に、薬物以外の依存症問題に関するセッションが行われ、ここに私も登壇した。まずイタリアの医師により、依存症の根幹をなす「渇望現象」に関する説明があり、その後インターネット、ギャンブル、SEX依存に関する発表が続いた。インターネットやSEX依存症については、これらも病気であり予防教育が重要であることなどが述べられた。
さて私の発表だが、私は自分の得意分野である「回復コミュニティの重要性」「回復者の役割」「日本の現状と文化的背景」について語った。具体的には、自分の自己紹介を兼ね回復までの道のりを語った後、日本のギャンブルを取り巻く現状、つまりギャンブル産業は多いがこれまで対策がなされなかったこと、ギャンブル依存症罹患者が諸外国に比べ突出して多いことなどを示し、日本には「恥の文化」があり、家族の問題は家族でなんとかしようと隠してしまうこと、依存症問題に対するスティグマの強さなどについて語った。そして回復支援が殆どない中、回復者同士がコミュニティを形成し、支え合って回復の手助けをしてきたこと、またそこからさらに実名顔出しで活動しはじめたことから、ギャンブル等依存症対策基本法の法案成立までこぎつけたことをスピーチした。
これは手前味噌になるが、会場で好評を博し大きな拍手を頂いた。このセッションは比較的新しく注目された分野でもあるためか会場の興味関心を惹き、地元のTV局で放映されたのでご覧いただければ会場の雰囲気もお分かりいただけるかと思う。
ちなみにバチカンはギャンブルの合法化にも、ギャンブル産業から税金をとるようなやり方にも反対の意向を示している。
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