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F35は日本の防空に役立つか

Japan In-depth / 2018年12月24日 10時23分

2016年6月、領空侵犯対処のため離陸した航空自衛隊のF15戦闘機が領空侵犯をしてきた中国軍戦闘機に撃墜されそうになったことが問題になった。その数か月後のタイ空軍と中国空軍との空中戦演習では、タイ空軍のグリペンを装備した戦闘機隊は中国空軍に圧勝している。このニュースの後、AAD2016にて筆者は南アフリカ空軍が装備するグリペンを実際に取材した。わずか400mほどの滑走で離陸してしまう高性能に驚いたものである。また、ザンビアなどのアフリカ諸国が中国軍の練習機を戦闘機として採用している事実も目にした。冒頭で述べた戦闘機の「質的優勢」は現在の軍事技術をもってしても実現できてはいない。故障を完全に防ぐことはできないし電子装備で人の能力を2倍3倍に高めることは不可能であるためだ。



▲写真 ザンビア空軍が装備する多目的戦闘機 中国空軍の練習機改修して採用 出典:照井資規AAD2018


航空自衛隊が42機購入する予定のF35戦闘機は1機146億円、グリペンは1機60億円である。ライフサイクルコストも考慮すれば同じ予算で3倍の数を揃えることができる。


F22もF35戦闘機も前評判ほど高性能では無いことが露呈している。アラスカの国際合同演習Red Flagの模擬空中戦ではF-22がEF2000ユーロファイタータイフーンに完敗した。大型の機体はステルス性が良くても熱映像で探知されやすく、EF2000の赤外線センサーは50Km先からF-22の機影を捉え、旋回能力を活かして戦ったためである。F-22は決して最強ではなく小型の練習機にすら負けることがある。


F35機体構造が複雑で機体の重量と大きさ(空気抵抗に影響)に対しエンジン推力とのバランスが悪く、その鈍重ぶりは「曲がれず、上昇できず、動けない」と酷評され、2015年にはF16戦闘機との模擬空中戦で負けている。


F35の調達方法は、アメリカ国防総省による対外軍事援助プログラム、FMS:Foreign Military Sales「有償対外軍事援助」である。これは、米国の武器輸出管理法に基づき、



1 契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されないため、支払い時は価格が高騰することもある。


2 代金は前払いであり、返品は不可、納期が年単位で遅れることもある。


3 米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる。



という不公平な条件を提示し、受け入れる国にのみアメリカ製の兵器や教育訓練等の役務(サービスのこと)を有償で提供するというものだ。


FMSは合衆国政府が窓口となって取引が大口化することにより価格が割安と言われるが、果たしてそれほどの利点はあるのだろうか。アメリカ軍は必ずしも最良の兵器を備えているわけでもなければ、最強でもない。巨額の軍事費は米国経済を大いに圧迫しているため、アメリカ国民を守っているとも言い難いのが現状である。アメリカを盲目的に信じることなく、世界中に目を向けて実効性のある防衛力整備を追求する姿勢を持たなければならない。


トップ写真:アメリカ空軍のF-35A 出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. Donald R. Allen(Public Domain)


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