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F35は日本の防空に役立つか

Japan In-depth / 2018年12月24日 10時23分

しかし、1970年代から米海軍は、過剰に高性能で高価な戦闘機であるF14を装備したために、100万ドル当たり1日の出撃可能回数がF86に比して約80分の1に減った。これは性能の差で埋められるものではなかった。高価で大型の戦闘機は複雑すぎて故障も多く、訓練のために飛行する回数も減ったため制空能力はますます低下し、「一方的軍縮」「自滅的軍縮」と言われた。これは現在も変わりない。航空自衛隊は米空軍に倣いF15を装備したので、1日の出撃可能回数はF86に比して約40分の1に低下したことに相当する。もしF16戦闘機の原型、YF16であれば10分の1に抑えられたかもしれない。YF16のYとは「Prototype 試作」のことである。



▲写真 YF16 出典:アメリカ空軍


アメリカ合衆国が費やす軍事関係費は1分間に約100万米ドル(1.17 億円)に及ぶが、これだけの巨費を投じてアメリカ軍は必ずしも最良の兵器を備えているわけでもなければ、最強でもない。巨額の軍事費は米国経済を大いに圧迫しているため、アメリカ国民を守っているとも言い難いのが現状である。このようにアメリカ軍を有り難がって盲目的に信じてしまうと同じ失敗を繰り返すことになりかねない。そのことを自衛官や日本国民はよく知るべきだ。


筆者は、現職の陸上自衛官であった頃、陸上自衛隊富士学校にて研究員を務めていた時に陸上自衛隊の事業としてアメリカに研修に行き、Tactical Medicine EESENTIALS「国際標準戦闘救護指導員養成資格」を取得した。陸上自衛隊を退職してからはこの教育プログラムを日本で行う全てのライセンスを取得し、アジア支部として一般社団法人TACMEDA(Tactical Medicine Asia)を立ち上げて事態対処医療、第一線救護の普及に努めている。アメリカに本部があり、世界中からのBig Dataを集積してアメリカで進化している教育プログラムではあるが、筆者はヨルダンで開催されるSOFEX、フランスで開催されるEUROSATORY、南アフリカ共和国で開催されるAAD※の認定ジャーナリストになり、ヨーロッパに加えて日本と深く関わりのある地域の最新の動向を常に把握することに努めている。


世界の中心はやはりヨーロッパであるという意識は強い。救急医療の面では、日本では「JRC蘇生ガイドライン」として示される心肺蘇生にかかわる科学的根拠と治療勧告コンセンサス、CoSTR「コースター」はベルギーに本部がある国際蘇生連絡協議会ILCOR「イルコア」が作成して発表している。度量衡の国際単位メートル法の発祥はフランス、元素や化合物の命名の標準「IUPAC命名法」で知られるIUPACの本部はスイスにある。原油の輸入元である中東は日本の生命線であるから、中東地域の安定は日本国に及ぼす影響が大きい。


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