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F35は日本の防空に役立つか

Japan In-depth / 2018年12月24日 10時23分

戦闘機は数を揃えることが重要である。空域のどこにでも存在し、いつでも撃ち落とすことができることが抑止力として機能するためである。Kill Ratio「撃墜対被撃墜比率」において有利、つまり空中戦を行った際に敵味方に発生する損害比率にて、敵の戦闘機を撃墜する間に発生する味方の損失発生の割合が低いほど戦闘機は高性能であると言われるが、そこには時間の概念が欠けている。


空中を高速で機動する戦闘機をまとめて撃墜することは核爆弾を用いない限り不可能である。1機ずつ撃墜している現在の空中戦では、敵の数の方が多いほど時間がかかる。空中戦の最中にわずか1機や2機、領空に侵入を許してしまえば防空は失敗となる。


防空には大量の戦闘機と多数の経験を積んだ操縦手を備え、高い出撃率を維持できることが求められるが、安価でシンプルな機体であればこれらを実現できる。操縦士は訓練を重ね経験を積むことができ、故障が少ないため出撃率も高くなるためである。


NATO演習ではベルギーのF16が米軍のF15に圧勝した。F15の高性能レーダーがF16を探知したと同時にF16も被レーダー探知警報機でF15を確認、F16は小型なので視認しにくく、軽量であるため素早く加速でき旋回できるので小さく回りこむことが出来たことと、ベルギーのF16操縦手の方が訓練時間が多かったためである。敵を発見するのは早期警戒機と空中管制の仕事であり、戦闘機に高性能レーダーは必要ないこと、瞬間的な高速性能よりも、長く速く飛べることが重要であり、数を揃えることができれば双発エンジンも不要であることを実証したF16戦闘機は1970年代からの30年間に製造された米国、旧ソ連のどの戦闘機よりも優秀であった。


しかし、YF16がF16として米軍に装備される際、F16は地上目標の攻撃と核爆弾投下に用いられる「多目的航空機」に改造され、機体が大型化し20%重くなることで加速性を失い、当初の目的であった戦闘機としての性能は台無しになった。複雑な電子装置も搭載し価格も75%高騰、F16は戦闘機部隊ではなく空対地任務の部隊に配置されたため、地上攻撃用兵器を搭載した状態での待機態勢に置かれてしまい、飛行訓練が十分に行えなくなった。


戦闘機であれば空中戦の訓練は実弾を積んで行うので、訓練から直ちに要撃任務に移行できるが、攻撃機として運用されてしまった場合、爆弾を満載した待機態勢の機体で訓練すると危険極まりないので、待機以外の機体を使いまわして操縦手の訓練を行うことになり、訓練時間は少なくならざるをえない。F16戦闘機は米軍に導入される際に、その本来の性能は失われ目的を達成することはできなかった。


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