F35は日本の防空に役立つか
Japan In-depth / 2018年12月24日 10時23分
現代の空中戦は敵を先に発見してミサイルによる先制攻撃を加えた方が優勢と言われるがそれは理想に過ぎず現実は異なる。2008年のRAND研究所のレポートによると、1950年代から米軍が空中戦で撃墜した588機のうち、視界外から発射されたミサイルで撃墜できたものは僅か24機、高価な中長距離ミサイルも期待したほどの成果は発揮しておらず、やはり有視界の空中戦における操縦手の腕前が頼りなのが現在でも航空戦力の要である。現代でも熟練した操縦士が敵の戦闘機を格闘戦により1機ずつ撃墜しているのである。ハイテク戦闘機が1機で同時に2機も3機も敵の戦闘機を撃墜できるのであれば「質的優位」と言えるが、操縦士の能力を2倍、3倍にも高めることは現在の技術をもってしても実現できてはいない。
F35の能力を最大限に発揮するためには、人工衛星や他の航空機が集めた情報を統合して掌握できる情報通信ネットワークや空中給油機、国産のミサイルを使用できるようにするなど、運用に関わる周辺についても整備しなければならない。機体の購入費以外にさらにこうした多額の費用がかかる上、こうした環境が整わない限り「質的優位」の達成は、遥かに先の将来の話であって、差し迫った「今の脅威」にはとても対処できない。
真実を知りたければ、お金の流れと流された情報で得をするのが誰かを追求することだと言われる。報道される事実は「fact」というように、報道機関という工場 「factory」で作られる製品、商品のようなものである。情報は流される時点でそのことにより利益が得られるようにバイアスがかけられている。世に溢れる情報の中から真実を見抜く目を持たなければならない。
■ F35戦闘機について
F35はFighter「戦闘機」の名称こそ付けられてはいるが、統合打撃戦闘機計画Joint Strike Fighterに基づいて開発された機体であるため、戦闘機、攻撃機、短距離離陸・垂直着陸機、航空母艦で運用する艦上搭載機に共通する設計がなされている。見た目は同じように見えて、航空自衛隊が採用したF35A「通常離着陸型」、航空自衛隊が導入を検討しているF35B「短距離離陸・垂直着陸型」、F35C「艦上搭載型」の3種類がある。F35の「35」とは設計番号であり、米軍戦闘機として35番目に設計されたことを表す。続くA,B,Cなどのアルファベット1文字の接尾記号はSeries記号であり同じ設計番号の中でどのシリーズに属しているかを示すもので、それぞれの機体の区分がアルファベットと数字の組み合わせにより表現されている。
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