F35は日本の防空に役立つか
Japan In-depth / 2018年12月24日 10時23分
※「Harrier」の「クラスA事故」の発生率は10万飛行時間あたり39件、「ハリアーII」は2013(平成25)年時に同発生率が6.76件にまで改善された。出典:垂直離着陸戦闘機「ハリアーII」ぬぐえぬ誤解? 欠陥機の指摘は 2016.10.17 関 賢太郎(航空軍事評論家)https://trafficnews.jp/post/58504
▲写真 アメリカ海兵隊のF-35Bが垂直離着陸する様子 出典:アメリカ海兵隊
■ ハイテク戦闘機ほど墜落しやすい
旅客機は大勢の乗客を快適に載せるため安定して飛行するように設計されている。アジア太平洋戦争での日本列島空襲に用いられたB-29として知られる、B「Bomber爆撃機」も爆弾を降り注ぎ命中させるために安定性が重視されているため墜落のおそれは少ない。しかし、戦闘機、攻撃機は急激に上昇したり降下したり小さく旋回するなど戦闘のための機動を行うため、機体は意図的に飛行が不安定になるように設計されている。戦闘機を安全に飛行させるには操縦士の技量が高い事が最低条件となる。
F-35は2006年に初飛行。今年2018年までにF-35A、F-35B、F-35Cと合わせて300機以上が生産され、開発時も含め1件の墜落事故も発生しておらず20万飛行時間無事故という戦闘機としては異例の無事故記録を達成していたが、9月28日(金)アメリカ海兵隊のF-35B「短距離離陸・垂直着陸型」が、アメリア東海岸サウスカロライナ州ビューフォート海兵隊航空基地近辺において墜落、大破するという事故が発生した。F-35の墜落事故は今回が初である。
F-35の無事故記録は、INTの発達により他の機体の事故などで明らかになった原因を改善やソフトウェアのアップデートに反映させやすくなったことが大きいが、F-35の重大事故が発生しやすくなるのは実戦配備されてから年月の経ったこれからである。意外なことにハイテク戦闘機の方が墜落しやすい。高価であるため数を揃えることができず操縦士の訓練時間が減少する。構造が複雑であるため故障が起きやすく、修理部品も高価であるため飛行可能な機体数が減る、そうすると操縦士の訓練時間がますます減少する、とハイテク戦闘機ゆえの悪循環に陥るおそれがあるためだ。
米軍機が世界最高の性能を備えていると思い込むのは大変危険である。最近ではオーストラリア、イギリス、カナダ、インド、フランスが加わったが、日本人の多くは在日米軍、日米共同訓練で知られるようにアメリカ合衆国は最も密接な安全保障上の同盟国であり、海外の軍隊と言えばアメリカ軍で、世界最大の規模と強さを誇ると思いがちである。
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