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「変わるアジアのパワーバランス」 Japan In-depth創刊5周年シンポ その3

Japan In-depth / 2019年1月12日 18時0分

アメリカの場合、トランプ氏は中国に『知的財産権の窃取をやめろ』という点に絞って主張しつつ、『俺は習近平のことが大好きなんだ』などとわけのわからないことを言っている。ペンス副大統領は中国のほとんど全方面にあたるくらい徹底的に批判した。ペンスの演説はトランプ政権全体として練り上げたもので、大統領と副大統領で役割分担している。議会でもルビオ上院議員らを中心に中国に対してものすごくきついことを言っている。だからトランプとしてはほらみろと。ペンスの演説を見ても、ルビオ議員の話を聞いても、中国に対してめちゃくちゃきついんだと、俺の言っている貿易の分野だけでもお前らは譲っといたほうが得だぞというような、そういう外交ができるのではないかと思う。



▲写真 トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領 出典:flickr  The White Huose


日本にもペンスやルビオの役割をする人が出てこなければならない。例えばナンバーツーの麻生副総理、党幹部、官房副長官などのポジションの人がもっと発言するべきだと思う。本来なら、官房副長官がボルトン氏レベルのカウンターパートにならなければならないわけだが、西村、野上両副長官の肉声を聞いたという日本人がいったい何人いるのか。全く発信力がない。これでは外交はできないのではないか。アメリカの議会のことも意識して我々も中国に対して同じ認識を持っているということをアピールしていくことが非常に大事だ。


安倍: 島田先生はかねてルビオ議員とつながりのある日本の政治家はほぼいないと指摘されていた。



▲写真 マルコ・ルビオ米上院議員 出典:flickr Gage Skidmore


島田: 外務省の最高幹部から聞いた話では『1人もいない』とのことだ。河井(克行)・自民党総裁特別補佐(衆院議員)がほぼ毎月のようにワシントンに行っているがほとんど会えないという。と言うのも、ルビオ議員は理念的にかなりはっきりした保守派の立派な40代半ばの議員で、理念的に共鳴できるような人間でなければ会わない。そもそも米上院議員は100人しかいないので世界198カ国の人間と次から次へと会っているわけにはいかない。そんな時間はない。そのため、日本の駐米大使でさえ上院議員と直に会えない。



▲写真 河井克行自民党総裁特別補佐 出典:河井克行公式HP


日本にも中国の人権問題を極めて強く追及するような議員連盟などがあって、その代表が訪米すればルビオは会うと思う。ただ、そのような団体が日本の議会にはない。そもそも基盤自体がないというわけだ。


(その4に続く。全5回。その1、その2)


トップ写真:日中首脳会談 2018年10月26日 出典:首相官邸


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