福島に新しい医療の風、吹く
Japan In-depth / 2019年3月8日 7時0分
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
【まとめ】
・若手医師が腰を据えて福島で活動し、世界に発信。評価受ける。
・災害医療は世界のトピック。福島には世界の医療の問題が凝縮。
・変革は辺境から起こる。福島から新しい医療が生まれようとしている。
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2018年3月20日、NPO法人医療・健康社会研究所が日本能率協会の「KAIKA(カイカ)アワード」を受賞した。東日本大震災以降、メンバーの若手医師が福島県浜通りで診療に従事しながら、国内外に情報を発信してきたことが評価された。
このNPO法人の主要メンバーは4人だ。理事長は坪倉正治医師、理事は尾崎章彦医師と森田知宏医師、幹事は関家一樹氏だ(※写真1)。4人とも学生時代から、当時、東京大学医科学研究所にあった私どもの研究室に出入りしていた。
医師は坪倉・尾崎・森田の3人で、いずれも東京大学医学部の卒業生だ。坪倉医師は2011年4月、尾崎医師は2014年10月、森田医師は2014年4月から浜通りの病院に勤務している。
彼らは、「被災地の役に立ちたい」と自ら進んで飛び込んだ。診療を通じて関係者との信頼関係を構築し、地域の課題を共同で解決した。地元の人に魅了され、気がつけば今でも現地で働いている。その間に現地での活動を臨床研究として発表した。医師は現場で育つ。彼らの存在は新しい医師育成の在り方を体現している。
福島が医師不足であることは言うまでもない。人口10万人あたりの医師数は196人。全国平均の240人を大きく下回り、埼玉(160人)、茨城(180人)、千葉(190人)、新潟(192人)、岩手(194人)に次いで少ない。偏在も深刻だ。3月18日、厚生労働省が発表した「医師偏在指標」は177。全国で岩手(169)、新潟(170)、青森(172)に次ぐワースト4位だ。
福島県内でも特に酷いのが相馬市・南相馬市などの相双地区だ。福島第一原発が位置する双葉郡も含まれる。2016年末現在、この地域の人口10万人あたりの医師数は145人。福島市を含む県北医療圏の266人の半分程度だ。紛争が続くシリア(150人)よりも少ない。
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