混迷、インドネシア大統領選
Japan In-depth / 2019年5月24日 14時51分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ジョコ・ウィドド大統領再選も「選挙無効」を訴え暴動が発生。
・潔さに欠ける陣営の行動に「プラボウォ離れ」が進む。
・両陣営の和解によりインドネシアに生じた分断を修復が最優先。
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4月17日に投票が行われ開票集計作業が続いていたインドネシアの大統領選挙は、5月21日未明に選挙管理委員会(KPU)が最終結果を発表し、ジョコ・ウィドド大統領(57)の再選続投が確定した。
これにより、10月の大統領就任に向けて本格的な2期目5年間のジョコ・ウィドド政権が始動することになる。
しかし、対抗馬で元陸軍戦略予備軍司令官、野党「グリンドラ」党指導者のプラボウォ・スビアント氏(67)は「不正に満ちた選挙結果を受け入れない」との立場を表明、ジョコ・ウィドド大統領との対決姿勢を強めていた。
開票結果が伝えられた21日夜から22日にかけてプラボウォ氏を支持する市民やイスラム教組織メンバーが「選挙無効」を訴えて首都ジャカルタのKPU本部あるいは選挙監視庁(Bawaslu)周辺に押し寄せ、警戒に当たる国軍、警察部隊と対峙、石や花火などが飛び交う騒然とした状態となった。
▲写真 プラボウォ・スビアント氏(右)出典:Wikimedia Commons; Partai Keren Sekali
■ 暴徒との衝突の中で発砲、死者か
21日深夜には一部が暴徒化し、警察機動隊宿舎が放火され車両が炎上したほか、市内複数地点でタイヤやマット、電線などが燃やされ、治安部隊が催涙弾発射や放水車で対応するなど騒乱状態となった。これまでに6人が死亡、200人以上が負傷し、257人が逮捕される事態となっている。
中心部の目抜き通りや放火のあったタナアバン地区は23日午前も引き続き道路が封鎖されて警戒が続いているものの、清掃車が出て道路を片付けるなど混乱は終息に向かい、日常生活を取り戻しつつある。
6人の死者について警察幹部は「デモ隊が解散した21日午後9時以降、突然現れた100人以上の群衆が暴徒となり、その混乱の中で銃撃されたされているが、当時治安部隊は実弾を装填していなかった」と治安部隊側の発砲を否定。会見では押収した拳銃などの武器を示して「不法に武器を使って混乱を高めようとした正体不明のグループが存在した」との見方を示している。
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