米、中国の膨張を抑える決意
Japan In-depth / 2019年6月14日 23時0分
アメリカが中国からの輸入製品に高関税を課している背景について古森氏は、「アメリカの目的はただ関税を上げることではない」と述べ、「アメリカが仕掛けてきた高関税は、中国に特定の行動を止めさせるための手段。だから、中国がアメリカからの要求に納得すれば、理論的には関税の引き上げは無くなる」との見方を示した。前述したように、経済の対立は原因ではなく結果なのだ。
では、アメリカが中国に求めることとは何か。
■ 経済活動に関する問題
第一に、「中国政府の外国企業に対する中国国内での扱い方」がある。古森氏は、中国国内で活動する外国企業の現状について、「例えば日本企業が中国国内で生産活動をする際は、中国企業との合併、合弁企業にしなくてはならない。これが義務付けられている」と指摘。また、「中国企業の中には共産党の委員会があって、『書記』が会社の会長や社長よりも実権を持つ。これは他の市場経済の国では考えられない特殊なこと」だと述べた。
古森氏は続けて『乱収金』の存在にも言及。「その土地の共産党委員会、場合によっては幹部個人にお金を払わせられる。貧困格差をなくすなど色々名目はつけているが、これは正規の金ではない」と述べ、「外国企業が市場に参入する際、中国の国内企業に対しては課せられない制限やハンデを課せられる」と現状を分析。その制限を取り払うなど、外国企業に対する扱い方を見直すことが求められているとの考えを示した。
第二には「知的所有権違反」を挙げた。古森氏は「アメリカ企業の映画や音楽などの海賊版が売られている。この状況を打破することが、アメリカ企業の最も顕著な要求だった」と分析。中国国内の現状については、「中国の独特の文化として『模造品は悪いものではない』という認識がある」とも述べた。
第三に、「中国の国家が民間企業に補助金を与えている」ことを指摘。この現状について「補助金はWTOの規則に違反する」と述べ、その理由として「市場経済を大前提として、世界の貿易が組み立てられている」と、中国国家の行動は市場経済の仕組みに反するとの見方を示した。更に「2001年からアメリカはこの状況を変えろと要求し続けている。トランプ政権は法律で国から企業への補助金を制限するとの合意を取り付けた上で、中国側から法律の草案も送られてきていた。それを取りやめた中国側に抗議する形で、トランプ大統領は関税の引き上げを決定した」と一連の流れを説明した。
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