米、中国の膨張を抑える決意
Japan In-depth / 2019年6月14日 23時0分
▲画像 古森義久氏 ©Japan In-depth編集部
■ 中国膨張への懸念
2018年10月4日はペンス副大統領が、トランプ大統領と最も近い機関とされているハドソン研究所で演説。演説の内容について古森氏は以下のように要約。「中国の膨張の仕方は、アメリカの国益を害するだけではなく、民主主義や法の統治などアメリカが本来掲げてきた価値観に正面から反する。アメリカが中心となって築いてきた、国際連合を始めとした戦後の国際秩序を根底から崩そうとしているのが中国。戦後の国際秩序を現状維持しようとしているのがアメリカで、その国際秩序を打破しようとしているのが中国。今の米中激突は、世界全体の在り方を左右することになる」。続けて、「中国共産党政権が、国内の独裁を強めながら、外に対しても国家の全機能を上げてアメリカに挑戦。そしてアメリカの国内政治にまで干渉してきた。また中国の膨張は、アジア太平洋地域の他の主権国家の主権を脅かす。そういうゼロサムゲームの膨張を中国は繰り返している」とも述べた。
さらにペンス副大統領の演説内では、中国のマスコミについても言及したと言う。古森氏によればペンス副大統領は、「中国中央テレビと新華社通信は、マスコミではない。政府のプロパガンダ機関であって、政治工作をしている組織。マスコミとして扱わない。外国の代理工作人であるので、その活動をアメリカの司法省に届け出なければならない」とまで言い始めた。これを踏まえて古森氏は「これだけ険悪な状況になっている」と分析したうえで、その背景には関与政策の存在を挙げた。
■ 対中政策の変遷
1979年にアメリカと中国は国交を正常化した。「国交正常化以降のアメリカの対中政策を一言で表すと『関与政策』。1979年当時、アメリカに比べて中国は弱かった。基本的な価値観も違う。でもその価値観の違いを飲み込んだ上で、アメリカは中国を強く豊かにしていこうと決めた」と、国交正常化時の米中関係を分析。このアメリカの姿勢を支えた最大の柱にソ連を挙げ、「1979年はソ連がアフガニスタンに攻め込んだ年。中国とソ連は同じ共産主義でありながら対立していた。アメリカにとって、敵の敵は友。つまりアメリカには、中国を強くして、ソ連を抑えたい思惑があった」と述べた。
蜜月だった米中関係が崩れたのは、1989年の天安門事件。今月4日は天安門事件からちょうど30年だった。アメリカ国内では、中国政府を非難し情報開示を求めるセミナーなども開かれたと言う。古森氏は「天安門事件をきっかけに、関与政策は間違っていた、とアメリカ側は考えるようになった。中国を豊かにすれば国際秩序の中に中国が進出するようになり、中国国内でも民主化が進むと考えていた。しかしそれは誤りだったということをアメリカに印象付けた事例」と、天安門事件事件が与えたアメリカへの衝撃を分析。
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