米、中国の膨張を抑える決意
Japan In-depth / 2019年6月14日 23時0分
▲写真 ダン・コーツ国家情報長官 出典:Office of the Director of National Intelligence
3.「国家防衛戦略」
「国家防衛戦略」は、軍事費の運用等の指針を示した文書。マティス米国防長官によって2018年1月に発表された。
古森氏によれば、この文書の柱は、「戦争を防ぐ最善の方法は、想定される戦争を遂行して勝つ能力を確実に持っておくことだ」という抑止の考え。トランプ大統領は、これを根拠に軍事費を増強し、政権の公約の一つ「強いアメリカ」の実現を目指す。軍事費を支出する主要な部門は東アジア。軍拡を進める中国を潜在的脅威ととらえ、対抗する姿勢を明示している。
さらに、国家防衛戦略と一体になった国防支出権限法には、アメリカの国防関連組織と政府機関がファーウェイとZTEの製品を使わない旨を明文記載した。
▲写真 マティス米国防長官 出典:U.S DEPARTMENT OF DEFENSE
■ 対中姿勢激化の理由
現在、中国問題はアメリカ政治において、ますます大きな比重を占めるようになっているという。
古森氏は、アメリカが対中姿勢を激化させた理由について、アメリカの専門家の論を挙げて説明した。
1. 中国がアメリカのハイテクを不法に収奪すること
特にファーウェイについては、約10年前から、被害の実例や危険性がアメリカ議会で報告されてきた。
「ファーウェイは、社会信用体系を築いて、国民の締め付けの主役を担ってきた。一党独裁の警察国家を作る企業だとして、アメリカは警戒感を強めた。」と述べた。
2. 統一戦線工作
「統一戦線工作部」は、国内の非共産党勢力を引き込み連携する、中国共産党の組織である。習近平政権は、この組織の役割を対外戦略にまで拡大した。例えば、親中派を育成する教育機関「孔子学院」を、2004年から世界各国の大学内に500か所以上設置した。
アメリカは、統一戦線工作の内実を明るみに出す動きを見せているという。
■ 中国の対米姿勢
中国の対米姿勢を、古森氏は「アメリカと対決してでも、世界に自分たちの考えに基づく影響圏を広げる決意は固い」と分析する。
「中国は、アメリカの国防政策の激しさをよく理解している」と古森氏は述べた。第一次湾岸戦争での米軍の戦いぶりを目にして、軍拡に踏み切ったと、中国人民解放軍幹部がエッセイで語っているという。
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