米・イラン大規模戦闘はない
Japan In-depth / 2019年6月19日 8時37分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2019 #25」
2019年6月17-23日
【まとめ】
・タンカー攻撃からみる、意外だったイランの米への過剰反応。
・タンカー攻撃は米イランの対話を潰す効果があるだろう。
・両国の軍事力は戦闘への抑止力になっている。
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先週はワシントンに出張していた。今回の米国出張はやることなすこと、あまりうまく行かなかった。最初の躓きはワシントン到着後のダレス国際空港での入国審査、ESTAを使って入国しようとしたら、何と失効していたのだ。行けといわれた別室には既に世界中の「得体の知れない」人々が不愉快そうに座っていた。犯罪人にでもなった気分だったが、得難い経験だったことだけは間違いない。
その後も受難は続いた。昼食を約束した親友は直前にアキレス腱を損傷、有力コラムニストとの再会も果たせなかった。だが、今回のワシントン滞在中最大のサプライズは中東湾岸地域で起きたあの事件だった。6月13日、ホルムズ海峡付近のオマーン湾を航行中のノルウェーと日本のタンカーが何者かに攻撃された事件である。
同事件については今週のJapanTimesに英文のコラムを書いたので、お暇があればご一読願いたい。ちなみに日本語版はない。同時期、安倍晋三首相は日本の首相として41年ぶりでイランを公式訪問中だった。やれ仲介は失敗だっただの、中東の新参者だのと批判する人々もいるようだが、これは外交ではなく、内政上の発言である。
▲写真 イラン公式訪問中 ローハニ大統領と安倍首相 出典:首相官邸Facebook
それにしても、これまで筆者は、米国とイランの間で緊張が高まっても、イランが過剰反応する可能性は低いと考えていたので、正直少し驚いた。トランプ政権の一部はイランを軍事的に挑発しているが、イランはそんな挑発には乗らないと思ったのだ。要するにワシントンに攻撃の口実を与えるような馬鹿なことはしないだろう、と。
勿論、イランが実行犯である決定的な証拠は今のところない。世界中の中東専門家は、イランが支援する各地の武装勢力の仕業だ、いや、これはイスラエルだ、サウジアラビアだ、などといった陰謀論を垂れ流しているが、どれも眉唾だろう。他方、今の筆者には「イランはやらなかった」と言い切る自信もない。
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