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医療の可能性と若手医師育成

Japan In-depth / 2019年6月28日 23時0分

それは、エムネスとの共同研究が長期にわたり、かつ嶋田医師がエムネスで「研修生」や「見学者」でなく、画像診断という実務の「当事者」として関わらなければ実効性のある仕事ができないと考えているからだ。我々が従事しているのは臨床医療という実学だ。文献を読んで机上の空論を弄ぶのではなく、実際に現場で試行錯誤しなければ、研究は進まない。そのためには、一定期間、現場で当事者として働かねばならない。そのためには、南相馬市立総合病院とエムネスで「兼業」しなければならない。


医療に限らず、先端的な研究は学際的な分野で発展する。いい仕事がしたければ、一ヶ所で縦割りの狭い世界に閉じこもるのではなく、様々な経験を積むべきだ。「兼業」は医師の生産性を上げる可能性がある。


私たちのチームでは複数箇所で働く若手医師が多い。坪倉正治医師自体がそうだ。相馬市の相馬中央病院特任副院長を「本職」に、福島県立医大の特任教授および南相馬市立総合病院・ひらた中央病院(福島県平田村)・ときわ会常磐病院(福島県いわき市)、さらにナビタスクリニック立川(東京都立川市)で非常勤医師として診療している。担当するのは高齢者を対象とした内科診療、都内での「コンビニクリニック」での診療から被曝対策まで幅広い。さらに今年の末にはフランス政府から招聘され、4ヶ月間、現地で被曝対策に従事する。


尾崎章彦医師も同様だ。2010年に東大医学部を卒業したあと、千葉県内の病院を経て、竹田綜合病院(福島県会津若松市)に就職した。その後、2014年10月に南相馬市立総合病院、2018年1月に青空会大町病院(福島県南相馬市)、2018年7月にときわ会常磐病院(福島県いわき市)に移籍した。


現在、ときわ会常磐病院での乳がん診療をメインに、大町病院でも診療している。また、週末は東京にもどり、私どもの研究所で研究する。


山本佳奈医師の働き方は坪倉、尾崎医師とは少し違う。2015年に滋賀医科大学を卒業後、南相馬市立総合病院で初期研修を修了した。その後、福島県内の大町病院、ときわ会常磐病院の勤務を経て、2018年10月からはナビタスクリニック新宿に拠点を移した。彼女の目標は「女性を総合的に診療できる医師」になることだ。30代の女性が多く受診するナビタスクリニック新宿が格好の修業の場だが、現在もときわ会をはじめ、福島県内の複数の施設で非常勤医師として勤務している。


彼らの特徴は、一ヶ所の病院に留まることなく、複数箇所で勤務することだ。勤務先は自ら開拓した。大学病院に勤務しながら、医局の関連病院でアルバイトをしているのとは違う。


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