「国際薬物乱用・不正取引防止デー」厚労省への要望書
Japan In-depth / 2019年7月26日 18時4分
その上現在、覚せい剤の大量輸入や若者の大麻の低年齢化や検挙率の増加が起きているのだから、「ダメ。ゼッタイ」が効果をあげているとは決して言えない。
また、もう一つの疑問としては、日本では違法薬物に対するバッシングは異常なまで人格を貶めるが、その分アルコールや処方薬、市販薬といった「合法」とされるものに対しては、ハードルが低く許容されすぎている。
なんせお酒が年齢確認のIDを見せずに買える国なのだ。処方薬、市販薬に関してもあちらこちらの医者や薬局を渡り歩けば大量に薬を手に入れることができてしまう。だから違法薬物の生涯経験者が実際に低いとしても、日本は処方薬、市販薬の依存症罹患率はかなり高いと言われている。
ところがこの処方薬や市販薬の依存症調査は一向に行われず、違法薬物の取り締まりばかりに目を向けているのだ。国連の調査(P39参照)によれば、日本は依存性の高いベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬の使用は、世界第2位の消費量なのである。
▲写真)市販薬イメージ 出典)pxhere
うがった見方をすれば、これは度々警察との統合が議論され、民主党政権時代には実際に仕分けの対象となった、同じ厚生労働省の管轄である麻薬取締官の存在意義を強調しようとやっきになっているかのように見える。実際、両課は強い結びつきのもとにある。
さらに、うがった見方をすると、このキャンペーンに監麻課と共にイニシアチブをとっている(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センタ―の役員には、薬剤師団体はもとより製薬会社の団体も名を連ねているばかりか、「ダメ。ゼッタイ運動」そのものが競輪・オートレースの補助事業で行われているのである。
つまり、そもそも自分たちの産業が沢山の依存症者を生み出しているのに、自分たちの足元には目を向けない、向けさせないために、声をあげにくい違法薬物の自己使用者を叩きスケープゴートにするために声高に叩いているようにさえ見えるのである。
また、監麻課の言い分として「違法薬物は犯罪なのだから、犯罪に手を染めないため、そしてその資金源は暴力団に流れるのだから、『ダメ。ゼッタイ』と強調することに意味がある。」というものがある。しかしこれは、誰でもすこし良く考えて頂ければすぐにご理解頂けると思うが、だったら「振り込め詐欺ダメ。ゼッタイ」「万引きダメ。ゼッタイ」と全ての犯罪に「ダメ。ゼッタイ運動」を行っているだろうか?言って効果が上がるだろうか?そんなことは言われなくとも大半の人は手を出さないものである。
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