日産自動車、お家騒動の系譜
Japan In-depth / 2019年9月14日 18時0分
八木澤徹(日刊工業新聞 編集委員兼論説委員)
【まとめ】
・日産が又「お家騒動」。西川社長 道半ばで退任へ。
・労組対策、無謀な海外展開、権力争いで社内混乱続いた歴史。
・日仏政府が対峙。日産が真の民間自動車メーカーになる日は来ない。
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日産自動車がまたまた「お家騒動」で揺れている。9日の取締役会で、西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)が日産ナンバーツーの山内康宏最高執行責任者(COO)から「日産は変わらなければならない」と辞任勧告を突きつけられ、「まだやるべきことが残っていた」と無念の言葉を残し、道半ばでトップの座を追われた。
▲写真 辞任に追い込まれた西川広人社長 出典: Wikimedia Commons; Bertel Schmitt (BsBsBs)
日産にはトヨタ自動車への対抗意識による過度の技術信奉、創業者・鮎川義助率いる日産コンツェルン時代からの政府の介入という「負の遺伝子」がある。通産省(現経産省)とメインバンクの日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)は1966年、経営難に陥っていた旧プリンス自動車工業との合併を主導。「日産中興の祖」となる川又克二を社長に送り込んだ。
「スカイライン」「グロリア」などプリンスの人気車種を取り込んだことで一時は販売台数でトヨタに肉薄する。しかし、「ブルーバード」や「セドリック」などディーラー同士の食い合いや、部品メーカーのダブりが起こる。
さらに不採算のロケットやフォークリフト事業、「村山工場」を拠点とする左派のプリンス労組も引き継いだことから経営にゆがみが生じる。これらの事業と村山工場は後に、ゴーンが全て売却することになる。
「いつまでも2位メーカーではない」。1977年6月に日産自動車の社長に就任した石原俊は、「技術の日産」「打倒トヨタ」を掲げ、米国で人気だった「ダットサン」ブランドを捨て「ニッサン」に統一。世界生産におけるシェア10%を目指す経営方針「グローバル10」を打ち出した。
当時深刻化していた貿易摩擦への対応として独フォルクスワーゲン(VW)との提携生産や、当時の英国首相サッチャーとの間でイギリス国内での現地生産協定に調印するなど、無謀ともいえる海外展開に突進する。
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