1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

改めて考えたい皇室と軍の絆

Japan In-depth / 2019年10月25日 18時0分

改めて考えたい皇室と軍の絆


島田洋一(福井県立大学教授)


「島田洋一の国際政治力」


【まとめ】


・即位の儀での宣明の言葉に国民の幸せと世界の平和への願いとある。


・戦前の日本の皇室や現在の英国の王室には軍との深い関わりがある。


・平和を宣明する皇室と軍の関係が認められない現在の日本は不自然。


 


10月22日、即位礼正殿の儀が厳かに行われた。皇族方の立ち居振る舞いは終始立派であり、天皇陛下の「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」との宣明の言葉も心に響いた。


ただ、明治以降敗戦に至るまでの日本や現在までのイギリス王室のあり方と一つ顕著に異なる点がある。


即位礼正殿の儀にも参列した英国のチャールズ皇太子と故ダイアナ妃の間に生まれたウィリアム王子、ハリー王子は、いずれも自らの結婚式に軍服で臨んだ。そこには実質的裏付けがある。



▲写真 結婚式に軍服で臨むウィリアム王子 出典:flicker photo by the british monarchy


例えばハリー王子(1984年9月生まれ)は、米国女優との結婚ばかりが話題にされがちだが、次のような軍歴を持つ。


2005年5月、20才でサンドハースト王立陸軍士官学校に入り、特に装甲偵察の訓練に時間を費やした後、2007年末から約2ヶ月間、アフガニスタンでタリバン掃討作戦に従事している。


王子が任務を終えて帰還後、英王室は、「ハリー王子は、同僚兵士たちと共に携わった作戦で祖国に貢献し、訓練の成果を発揮し得たことを誇りに思っている」との声明を発した。



▲写真 結婚式のハリー王子 出典:英国王室公式サイト


王室全体として、軍に関わりうることを誇りとするとの姿勢を明示したものである。その後、王子は陸軍航空隊でパイロットとしての訓練も受け、2012年9月から数か月間、アパッチ・ヘリコプターに乗務する形で、再度アフガニスタンでの軍務に着いた。帰還後は、負傷兵の心身回復プログラム策定などの業務に当たり、2015年3月、10年に及ぶ軍務にひとまず区切りを付けて名誉除隊した。


兄のウィリアム王子(1982年6月生まれ)の軍歴も引いておこう。2006年にやはりサンドハースト王立陸軍士官学校に入り、その後英空軍でパイロットとしての訓練を受けた。ウィリアム王子の場合は、主に英国周辺海域における捜索救難業務で7年半を過ごしている。その間、156回の捜索救難飛行に参加し149人の救出に貢献したという。軍パイロットとしての飛行時間は1300時間を超えた。任務の性質上、荒天を突いて飛ぶ危険な飛行も多かったらしい。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください