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つかの間の平穏、香港で選挙

Japan In-depth / 2019年11月24日 20時1分

つかの間の平穏、香港で選挙


 安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)


 


【まとめ】


・香港で24日地方議会にあたる区議会選挙が行われた。


・早朝から有権者の長い列、民主派は議席増を狙う。


・街のいたるところにデモの爪痕、混乱の出口見通せず。


 


■ 早朝から投票所に長い列


政府への激しい抗議活動が続いている香港で11月24日、地方議会にあたる区議会の議員選挙が行われている。午前7時半から始まった投票所には長蛇の列が出来、市民の関心の高さが伺える。午前中の投票率は前回の2倍以上となっており出足は上々だ。


香港の有権者数は約400万人。18区議会452議席が決まる。学生らの反政府デモを支持する民主派と政府を支持する親中派が一騎打ちする構図となっている。


前回2015年の同選挙の投票率は雨傘運動の影響もあり、47.01%で過去最高を記録したが、民主派の議席数は全議席数の30%程度に留まっている。


今回、民主派は議席数を大幅に伸ばし、林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官と香港政府に対する発言力を増したいとしている。


 


■ つかの間の平穏?


晴天に恵まれた24日、気温はぐんぐん上がり、25度に。数百メートル離れた投票所近辺まで歩くだけで汗ばむ暑さ。交差点には候補者の支援グループらがビラを配る姿も見受けられた。警官の姿も見られるものの、特に混乱や衝突もなく、平穏な休日の投票日和りとなった。



▲写真 立候補者ののぼりを立てて、投票を呼び掛ける支援者ら ©️Japan In-depth編集部


とはいえ、先週までの激しい学生らによるデモの爪痕が街のあちこちにみられる。それが、デモ時に剥がされた歩道のブロックを応急的にコンクリートで埋め戻した跡だ。



▲写真 剥がされた歩道のブロック跡 ©️Japan In-depth編集部



▲写真 剥がされた歩道のブロック跡 ©️Japan In-depth編集部


また、横断歩道にはスプレー缶で民主化を訴える生々しいメッセージも。



▲写真 「今こそ民主化を!」と訴える路上のメッセージ ©️Japan In-depth編集部


香港に在住する金融関係の日本人ビジネスマンは「キャリーラム行政長官のせいでデモが激化し、街のいたるところが破壊されてしまった。」と述べ、民主派の活動を過激化させたのは行政の失策と断じた。


また、外国人の夫が金融機関で働く、香港在住7年目となる日本人女性は、「先週までは本当に街が危険で子どもは学校を休ませた。自分が住んでいる郊外地区の外国人は市内に入らないようにしていた。今日も警察との衝突が起きるんじゃないかと心配だ」とうんざり顔だった。


投票日前日の23日夜、デモ鎮静化後初めて行われた香港フィルのオーケストラには、市民が三々五々集まったがその数はまばらで、午後10時に地下鉄が止まることもあり、アンコールもそこそこに劇場から立ち去る観客が多く見られた。デモの市民生活に与える影響は少なくないと感じた。



▲写真 香港フィルハーモニー管弦楽団のオーケストラ ©️Japan In-depth編集部


注目を集める区議会選挙だが、そもそも区議会は予算の承認や条例の制定など実質的権限をもっていないため、行政に対する影響力は小さいとされる。仮に民主派が議席の過半数を取ったとしても、現在の政府と民主派市民との対立の構図は解消されないものと思われ、火種は残ったままとなりそうだ。半年に及ぶ香港の混乱の出口はまだ、見えない。


トップ写真:区議会選挙の投票に並ぶ有権者 ©️Japan In-depth編集部


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