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高速水陸両用装甲車の開発はムダ

Japan In-depth / 2020年7月18日 23時53分

英海軍と海兵隊は沿岸から30海里に留りLSUの出撃拠点となる。揚陸作戦は原則夜間に行われる。1個中隊規模のコマンドウ・グループ1個が小型舟艇、ホバークラフトなどの舟艇によって上陸、もう一個のコマンドウ・グループが最大起点から110海里まで奥地まで海軍のマーリンMk3や陸軍のHC.Mk6チヌークなどのヘリコプターによる機動が可能である。


つまり作戦は2個コマンドウ・グループが基本とっており、作戦実施は最大シーステート4まで可能とされている。また上陸後は海上からの支援を受けて最大28日の作戦継続に耐えられるとされている。英軍は、世界で同時に二箇所でこのような上陸作戦を行える要準備している。


確かにMAVの開発には米軍も参加しているが、本格的な共同開発ではなく、モデルシュミレーションを使った要素研究に参加する程度のものであり、本格的に採用を見据えての共同開発ではない。


しかも米海兵隊は大規模な戦略と戦力の見直しを行うことを最近発表した。海兵隊は全ての戦車大隊(主力戦車M1A1や架橋戦車を含む)を廃止し、歩兵大隊は24個から21個へ、砲兵大隊は21個から5個へ、水陸両用車中隊は6個から4個へ削減する。浮いた費用を長射程精密誘導兵器と無人システムの導入の加速、高度な偵察能力の獲得などに投じていくと見られている。つまり強襲揚陸作戦を諦めるという選択になるだろう。当然ながらEFVタイプの装甲車の必要性は更に減る。


防衛装備庁の井上義宏事業監督官(情報・武器・車輌担当)付きは月刊「防衛技術ジャーナル」6月号において、MAVの開発理由に南西諸島に多いサンゴ礁を超えて上陸作戦を行うのに必要であり、AAV7ではそれが不可能だからと主張している。



▲出典 陸自のAAV7 出典:著者撮影


だが車体が大きいMAVはAAAV7よりも馬力があるが、高低差が大きいサンゴ礁では車体底部サンゴ礁の出っ張りにつかえて、履帯がサンゴ礁をグリップできずに立ち往生する可能性が高い。しかも南西諸島ではより踏破のハードルが高い防潮堤を備えているところが多くこれらを踏破することは更に難しい。


だがそうであれば、何で防衛省は南西諸島で使えないAAV7を52両も調達したのだろうか。AAV7が利用できるのは宮古島や沖縄本島などのビーチだけだ。因みに陸幕のAAV7のトライアルは3年かけて採否を決めるはずが米軍から言われたとしてトライアルを半年に切り上げて形だけ試験を行って採用した。このような主体性のないいい加減な組織がまともな現実的な将来戦場予想とそれに基づく、合理的な開発が可能かは大変疑わしいといえるだろう。


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