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高速水陸両用装甲車の開発はムダ

Japan In-depth / 2020年7月18日 23時53分

またBvS10ならばCH-47チヌークのような大型ヘリコプターや、C-130クラスの輸送機でも輸送ができる。揚陸艦から上陸地点に空輸することも可能で戦術的な柔軟性が高い。これはAAV7やMAVには不可能だ。


EFVやAAV7は上陸用に特化した車体なので車体が大きく、水上航行のための装備がデッドウエイトも大きいので陸上戦闘には向かない。対してBvS10のような車体は陸上戦闘でも実力を発揮する。


アフガニスタン派遣の英地上軍主力はBvS10を装備した海兵隊部隊だった。例えば水陸機動団がPKOなどの海外任務にでるのであれば、このような装甲車の方が使い勝手がいい。我が国であれば豪雪地帯や沼沢地などの地形でも使用が可能であるし、災害派遣でも有用だ。対してAAV7やEFVはこのような地形、任務には向いていない。



▲写真 英海兵隊はソフトスキンのBv206を支援車輌に使っている 出典:著者撮影


またBvS10はじめ、この種の車輌には兵站型、自走迫撃砲、UAV(無人機)運用型、レーダー車型、装甲夜戦救急車などが存在するが、このようなファミリー化は構造上AAV7やEFVには不可能だ。基本的にAAV7やEFVは母船と海岸を何度も往復して兵員を輸送し、また海岸堡の維持用の装甲車でしかない。上陸後の内陸での戦闘であれば上記のような諸兵科向けの装甲車輌が必要だが、水陸機動団にない。


水陸機動団を「普通の歩兵部隊」として使用するケースでは圧倒的に二連結ATVの方が有利である。因みに英海兵隊では戦闘用にはB vS10、兵站や後方支援には非装甲型のBv206を使用している。水陸機動団には兵站や支援車輌にこのような車輌はこれまた存在しない。


水陸機動団のAAV7の後継ならばEFV型のものでなく、BvS10のようなATV型装甲車を採用するほうがいい。非装甲の支援型を併せて採用するならば合わせて100輌以上は調達できるだろう。そうすれば量産効果も出る。


またこのような車輌であれば国内外の軍民両市場で販売することも可能だ。つまり開発に掛かった費用を回収し、かつその後も持続的なビジネスを展開できる可能性があるということだ。そうであれば国内の雇用を創出し納税も期待できる。


対して汎用性も需要も低いEFV型装甲車は次に必要となるのは、自衛隊では30年は先になる。その間の技術の継承も難しいし、開発のための投資を行うことも難しい。


我が国は南北に長く、南は珊瑚礁があり、北には豪雪地帯が存在する。更に島国で離島も多く海岸線も長い。このような多様な地形を有している。しかも洪水や地震などの災害も多い。このような我が国固有の多様な環境では二連結型ATVの需要は自衛隊だけはなく、消防や自治体、レジャーなどでも需要があるだろう。またこのような環境は開発に際しても大変有利なはずだ。航空自衛隊でもへグランド社のBv206を大型雪上輸送車として採用している。海外では複数のメーカーがこの種の車輌を開発製造しているということは、相応の市場があるということだ。


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