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陸自 開発実験団評価科長の尊皇攘夷

Japan In-depth / 2020年8月17日 19時0分

陸幕がAH-64Dの調達中止を思いついたのは調達コストの高騰に加えて、米国での生産が近い将来終わることになっていたからだ。つまり生産が終わりそうなタイミングで発注をかけたのだ。それでも陸自が、例えば毎年で残りの全機まとめて調達する計画を示していたら製造元のボーイングは陸自の必要分を生産したはずだった。筆者はボーイングの担当者にそう聞いている。


ところが毎年単年度で年末にならないと発注数が1機か2機か、あるいはゼロか分かりません、ではメーカーも付き合わない。因みにその直後に韓国がAH-64Dの採用を決定し、オフセット(見返り)で、生産ラインを韓国に移してAHY-64Dの生産を開始している。


その後先述のように台湾、カタール、シンガポールその他の国々はAH-64Eを短期間に輸入で陸自よりはるかに安価に調達している。


““「実戦で十分に使い込まれているはずの海外装備にも、試験で初めて確認される不具合項目や改善要望がでることあるが、自前の改修はまずNGで、改善の余地はないか、全て目の玉の飛び出るスペシャル料金でのご対応かもしれない」””


「しれない」というのは憶測、噂話の類である本人がきちんとした知識やエビデンスをもっていないのだろう。これも事実ではない。多くの場合交渉次第で自主改修は可能だ。それが出来ないのは防衛省、自衛隊がまともな交渉を行っていないからだと思われても仕方がないのではないか。防衛省、幕僚監部が、まともに契約していれば大抵のトラブルは防げる。少なくとも筆者は外国でそんな話を聞いたことはほぼない。


もしそういうことがあるとするならば、防衛省、自衛隊がカモられているのか、無理難題をふっかけられているだけだろう。実際海外のメーカーや商社からは「実戦もないくせに自衛隊は小言幸兵衛で、思いつきで変な要求をすることが多い」と聞く。ただでさえ単年度ごとの少数発注を行い、そのようなカスタマイズを頼めば値段が上がるのは自明の理である。


仮にそのような事実があるとするならばそれは、自衛隊は意思決定が遅いし、生産情報を把握していないからだ。だから深く考えずに生産末期になってから発注する。例えば陸自が英国から導入した戦車橋は決定まで10年も掛かった。原因はこれまた防衛省、幕僚監部の能力の欠如にあるのではないだろうか。


海外装備の独自の改修は契約次第だ。例えばイスラエルは米国製のF-15、F16といった戦闘機やAH-64Dにしても独自の改修を加えている。それはイスラエルが米国からそのような条件を引き出したからだ。対して我が国はそれをしてこなかった、あるいはできなかっただけだ。それは輸入側の責任であってメーカーの責任ではない。これまた防衛省、自衛隊の当事者意識と能力の不足に起因していると推察される。


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