陸自 開発実験団評価科長の尊皇攘夷
Japan In-depth / 2020年8月17日 19時0分
““「海外製品ならば、最初の要員育成は操作員も整備員もとても高価な海外留学か海外からの教官招聘だ。新たな装備のための保管庫、整備工場も必要で、最新技術の厳重な、高額量産単価も霞むようなスーパー御殿になるかもしれない」””
またも「かもしれない」だ。
つまりは知らないけど、怖いよというアオリである。開発実験団の評価科長の職にあるものが、装備調達に関する実態を把握していないようだ。
だが彼の認識は事実ではない。例えば陸自が導入した狙撃銃M24の導入やカール・グスタフM3無反動砲などの導入で新たな整備庫、整備工場つくったという事実はない。海自のH-135はエアバスが国内に整備工場と訓練施設を持っているので新たな整備工場やお雇い外人は必要ない。また在日米軍機の整備をやっている日本飛行機は外国の企業だろうか。日本企業が外国企業の整備をキチンとおこなっているのだ。当然海自のH-135も新たな整備工場をつくったこともなければ、お雇い外人も雇っていない。
▲写真 エアバスヘリ H-135の海上自衛隊版 TH-135 出典:海上自衛隊ホームページ
確かにグローバルホークやF-35戦闘機導入ではそのような事があるが、先述のように防衛省はまともにそのコストについて交渉していないからだ。そのような費用が嫌ならばそのような装備を導入しなければいいのになぜ導入するのだろうか。
仮にそのようなコストがかかっても、例えば軽装甲機動車のように諸外国の3~5倍、機関短銃のように10倍もする役に立たない欠陥国産兵器を導入するよりも、外国製の方が信頼性も高く、結果としてライフ・サイクル・コストは安いことが多い。
因みに外国製品の稼働率の低さ、パーツの高さは自衛隊側にも大きな責任があることが多い。国内にデポをおくことも要求せず、パーツや消耗品を海外から小ロット取り寄せることが多い。だから、不足すると調達に時間がかかる。そして少数をDHLとかで取り寄せて、日通の特別便を仕立てれば高くなるのは当たり前だ。
好例は海自の掃海MCH-101だ。MCH-101は川崎重工がライセンス生産を担当しており、田川評価科長の大好きな「国産装備」だ。だがその実態は単なる組み立て生産で殆どのコンポーネントを輸入している。たかだが11機を調達したために輸入品の2倍のコストに跳ね上がっている。そして「国産」にも関わらず、当初MCH-101の稼働率は8%程と極めて低かった。それは先述のようにパーツや補修品を少数ずつ調達してきたせいだ。
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