東京一極集中問題の解決を【菅政権に問う】 その1
Japan In-depth / 2020年9月29日 19時14分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・日本はwith コロナの新しい国づくりが期待されている。
・東京は人口、移動の面で「ストレスフル社会」となっている。
・震災や天災のリスクに弱い半面、大きな企業は東京に集中。
新型コロナウイルスの状況も変化し、人が街に戻ってきた。飲食店も再開しつつあり、だんだんと都市機能が復活してきた。それに伴い、混雑も増えている。ちょっとした少しの混雑に違和感を感じる人も多いだろう。
こうした中、東京一極集中是正のため、菅首相が総務相に実態調査と対策を指示したそうだ(参考記事)。新型コロナウイルスを契機に総裁選の政策テーマにもなり、ようやく政府が本格的に取り組んでいきそうだ。withコロナの新しい日本の国づくりが始まりそうだ。期待しかない。
これまで東京の一極集中の弊害を公言し、内閣府の地方創生において、行政機関の地方移転業務にかかわっていたものとして、菅政権の方向性を強く支持したい。とはいえ、その行く手を阻む問題も数多く存在する。
■東京はストレスフル社会
首都圏は人口も日本全国の30%を占めている。都心はマンションがきらめく一方、景観は、あまりに目まぐるしい変化に、心理的安らぎも感じることはできない。地方出張から帰るたびに、東京の混雑には辟易する。故郷である東京の変貌が、マンションの建設により変わっていく。高層マンションが立ち並び、景観が一変する。
他方、地方は人口が流失し、高齢化・少子化は一層深刻で、駅前の中心市街地を歩く人も少なく、沈滞ムードが広がる。地方都市の衰退を目の当たりにするが、若者に聞けば「仕事があれば残りたい」というケースも多い。
まずはその認識であるが、東京をはじめとする東京首都圏は「ストレスフル社会」であることは説明する前でもないだろう。東京は過剰である。特徴を数字で現状を見てみよう。
▲表 【出典】筆者作成
まずは、移動面。主要31区間ピーク時の平均の混雑率は163%である。この意味するところは肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読めるレベル(150%)と体が触れ合うが、新聞は読めるレベル(180%)の間くらいになる。
ただし、これは平均であって、地下鉄東西線では、体が触れ合い、相当な圧迫感があるが、週刊誌なら何とか読めるレベル(199%)という状況である。極度の緊張状態の通勤を迫られている(現在は新型コロナで改善しているだろうが)。通勤にかかる住民のストレス・健康負担は相当のモノである。次に、渋滞レベル(交通渋滞で余分に要した運転時間)は、41%と交通渋滞がなくスムーズに進めば時間が効率化できる。
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