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米大統領選とメディアその4 人種差別でトランプを倒せ

Japan In-depth / 2020年10月21日 11時0分

反発は激しかった。ニューヨーク・タイムズが日ごろから敵とする共和党保守派は同紙をとくに強く糾弾した。





大統領選ではトランプ氏と共和党の指名獲得を争ったテッド・クルーズ上院議員はツイッターで「ニューヨーク・タイムズはトランプ憎悪により自壊を始めた」と批判した。





クルーズ議員は「ジャーナリストが政治プロパガンダ拡散に熱中することは報道の自由にとっても有害だ」と述べるともに、「人種差別をあえて政治的な武器とすることはかえってそれを広めることにもなる」と警告した。





メディア界でもニューヨーク・ポストのベテラン・コラムニスト、マイケル・グッドウィン記者は次のように酷評した。





「特定の政治勢力へのここまでの反対や賛成を本来の報道活動に優先させるのはニュースメディアとしての腐敗だ。ニューヨーク・タイムズはもう報道機関としての責務を放棄し、民主党と一体の政治機関になった」





FOXテレビも「大手新聞の極端な偏向」として批判的に報道した。





肝心のトランプ大統領も8月18日のツイッターで厳しく反撃した。





「衰退するニューヨーク・タイムズがまた失敗をした。私を攻撃する手段として、でっちあげのロシア疑惑からこんどは魔女狩りのレーシズムへとシフトしたことが内部情報の流出でばれてしまったのだ」





同大統領はすでに同紙を「フェイクニュース新聞」とか「衰えた古い新聞」と断じて、糾弾してきた。





さて2020年5月末から6月にかけてアメリカ国内で起きたことは、まさにこのニューヨーク・タイムズの戦略と合致していた。





人種差別反対から起きた騒動はトランプ大統領の支持率を就任以来の最低レベルまで下げたからだ。





トランプ陣営も座視はしていない。反撃として訴訟という手段にまで訴えるようになった。





トランプ大統領の再選を目指す「トランプ再選運動本部」はニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビをあいついでトランプ氏に対する名誉棄損で正式に告訴したのだ。





2020年2月から3月にかけての動きだった。





(その5につづく。その1、その2、その3。全5回)





*この記事は一般財団法人「交詢社」発行の「交詢雑誌」令和二年九月特集号に「アメリカ大統領選とメディア」という題で掲載された古森義久氏の寄稿論文の転載です。





トップ写真:トランプ大統領の顔写真に「人種差別主義を排斥しよう」のスローガンを重ねるデモ参加者(2020年6月13日 ワシントンD.C.) 出典:Ted Eytan




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