仏、ホームレスの4割が女性
Japan In-depth / 2020年12月7日 23時19分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランスUlala の視点」
【まとめ】
・仏ホームレス10人に4人は女性だが、その存在はなかなか見えない。
・レイプにあわぬよう女性らしさを消し、姿を隠すため支援が届かず。
・ようやく女性専用施設ができ、つかの間の休息も、苦難は続く。
手厚い補助も受けられる女性たちが華々しく働いているイメージがあるフランスだが、実はフランスには人目に触れないように隠れて生活している女性たちがいる。それはホームレスの女性たちだ。
■ 隠れて生きるフランスの女性ホームレスたち
12月2日に France2にて、ドキュメンタリー『女性たち、路上から避難所に』が放送された。番組冒頭で話はじめるのは、「哲学の修士卒で、高校で教師をしたこともあるホームレスの女性」だ。高学歴を取得していてもある日住む家がなくなることもある。女性であってもホームレスになることは誰にでも起こること。そんな現実を突きつけられる瞬間でもある。
「フランスでは、ホームレスの10人のうち4人が女性です」そう語るのは、このドキュメンタリーの制作者クレア・ラジュニー氏だ。ラジュニー氏は、自身もホームレス支援施設で6カ月間過ごした経験があり、女性ホームレスと彼女たちを支えるソーシャルワーカーを描いた映画『社会の片隅で(邦題)』の原作者でもある。
この映画のフランスの原題は『Les invisibles』であるが、残念なことに邦題はこの原題を忠実に訳しているとはいいがたい。なぜならラジュニー氏が一番伝えたかったのは、社会の片隅で生きているというよりも、こういったホームレスの女性たちは「人目を避けているため、その存在が表に出ない」ことだからである。
フランスでは自分の存在をアピールしていかなくては誰も振り向いてくれないし、何もしてくれない。だから人々は年がら年中デモやストをやっている。主張することが当然とされる社会の中で、ホームレスの女性たちは目立たないように隠れて生活しているのだ。それ故にあまり考慮されないできたともいえる。
では、なぜ彼女たちは姿を見せないのだろうか。それは、レイプなどの暴力から身を守るためである。
■ 8時間に一人がレイプなどの暴力にあっている現実
ホームレス受け入れ施設で働いている職員はこういう。
「ここにくる女性たちは、100%レイプなどの暴力を受けています」
彼女たちは、すでに路上に出る前に伴侶や家族からの暴力にあっている場合も多い。しかし路上で生活することはさらにレイプというリスクが日常的につきまとう。夜一人で歩いていると怖いと感じることはないだろうか。女性のホームレスはそれを一日中感じて生きているのだ。被害にあわないように女性らしい恰好はしない。夜は特に危険だ。ならば夜はホームレス支援の施設で寝た方がいいと思うかもしれないが、施設は男女混合がほとんどなのだ。そのため施設に行ってもレイプの恐怖にさらされる。
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