「ダメ。ゼッタイ。」ポスターを貼らないで!薬物依存症家族会の悲痛な叫び
Japan In-depth / 2021年6月3日 12時39分
田中紀子(ギャンブル依存症問題を考える会代表)
【まとめ】
・危険でない薬物である日突然「犯罪者」に。非犯罪化の推進を。
・薬物依存者や家族を苦しめる「ダメ。ゼッタイ。」ポスター。
・薬物問題は刑罰では解決できない。税金は社会的支援に投入を。
■刑務所などの矯正施設に支援の情報を!
ご存知の通り薬物事犯の再犯者率は現在でもおよそ7割に及んでいる。しかも年代が上がるごとに再犯者率も上がり、50代以上では84.9%にも及んでいる。
▲資料 「覚醒剤事犯の再犯者率推移」 出典:公益財団法人 麻薬・覚醒剤乱用防止センター ホームページ
人が薬物依存症に陥るには様々な背景がある。
再犯を防止するには、その人の背景を見つめ直し、大きな原因となっているものに、心理療法や環境改善、精神的な支援や場合によっては生活保護などの経済的な支援、また社会復帰への道筋をつけていかなくてはならない。
私たちは常々薬物の再犯を防ぐには、こうした人との繋がりをどうやって作るかを、矯正施設に伝えたいと願ってきたが、現在の刑罰のシステムは執行猶予、仮釈放、刑期満了のいずれの場合でも、殆ど何の支援にも繋がれぬまま社会に出されてしまう。
薬物依存症の回復施設と言えば「ダルク」が有名だが、このダルクの調査を研究者が行ったところ、施設利用開始時における法的状態としては、満期釈放後 14.5%、執行猶予中(保護観察なし)8.3%、仮釈放中7.5%、執行猶予中(保護観察あり)4.0%、保釈中1.4%、いずれもあてはまらない63.9%となっており、矯正施設から回復支援に繋がって来る人は利用者のうち3割強しかいない。
▲資料 ダルク利用開始時における法的状態 出典:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部「ダルク追っかけ調査2018利用者ハンドブック」P.5 より
しかし現行制度ではこれも当然の結果で、考えてみても頂きたいが、刑務所に行かないまでも、日本では大麻やLSDなど大して健康被害のない薬物をわずかばかり所持していただけで、20日前後勾留されてしまうのである。
世間を騒がせた某女優さんの場合など、ごくごく微量MDMA 0.198g、LSDを0.685g所持していただけできっちり20日間勾留され、その上、まるで重大犯罪を犯したかのような騒ぎぶり、芸能界からも社会復帰すらさせてなるものかといった人権侵害コメントがまるで正義かのように取り上げられるのが日本である。
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