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「ダメ。ゼッタイ。」ポスターを貼らないで!薬物依存症家族会の悲痛な叫び

Japan In-depth / 2021年6月3日 12時39分

その証拠に、薬物問題に関わる支援者、当事者、家族が2019年から「『ダメ。ゼッタイ。』キャンペーンを別のスローガンに代えて欲しい」と嘆願を入れているが、「検討する」と答えながら一切変更をしない。そして今年もまた、「ダメ。ゼッタイ。」のポスターが税金を使って大量に作られたのである。





この「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーンは80年代に米国の「ただノーと言おう<Just Say No>」というキャンペーンから始まった。









▲写真 厚生労働省などが推進する「ダメ。ゼッタイ。」普及運動のポスター 出典:厚生労働省ホームページ





しかし、いまやこの「ただノーと言おう」キャンペーンは、米国国立薬物乱用研究所によると 「"Just Say No" キャンペーンは10代の薬物使用を防ぐのには効果がなく、大衆文化の中でのジョークに終わったと言われている」という代物なのである。(参照:Blast from the Past: "Just Say No" by Sara Bellum / National Institute on Drug Abuse Archives)









▲写真 1987年5月13日にロサンゼルスで「Just Say No」のスピーチを行うナンシー・レーガン。 出典:U.S. National Archives and Records Administration / Wikimedia Commons / Public domain





これは同じ厚労省でも我々が日頃お世話になっている依存症対策推進室であったら考えられない反応である。誰のためのスローガンで、何のためにやるのか?を考えたら、当事者家族が「予防教育に効かないどころか、スティグマにもなっている」と意見を出したらすぐに変更して頂けるし、そもそも勝手に決めたりせず現場と話し合った上で決められる。





監麻課の人権への配慮不足と頑なさに、今のところ我々は全く太刀打ちできていない。それどころか勉強不足の上、前時代的で思考停止したかのような議員をたきつけたのか、自民党内で「大麻事犯等撲滅プロジェクトチーム」まで立ち上げていた。このPTでもおわかりの通り末端の大麻使用者を救うのではなく「撲滅」と考えるのが監麻課のメンタリティだと思う。「大麻事犯を撲滅」という言葉づかいに国会議員も官僚も違和感を持たないのだろうか。





ちなみに薬物乱用防止は世界的取り組みであり、毎年6月26日は「国際薬物乱用・不正取引防止デー」である。この日も「国際麻薬乱用撲滅デー」と作為的な翻訳を用いていることは以前にも書いた。(参照:「『国際薬物乱用・不正取引防止デー』厚労省への要望書」)





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