根拠なき自民党の防衛費GDP比2パーセント公約
Japan In-depth / 2022年4月8日 23時0分
だが、第二次安倍政権からは航空機や装甲車、個人装備、施設の建設など、本来本予算で要求すべき予算を補正で賄っている。このため補正予算が「第二の防衛予算」あるいは「お買い物予算」化している。このため、実際の防衛費の伸びはより大きい。
特に昨年度の補正予算は巨額で「お買い物予算」も大きい。
防衛省 防衛力強化加速パッケージ 令和3年度補正予算の概要
防衛省 防衛力強化加速パッケージ 令和4年度予算の概要
岸田政権になってからは防衛省のサイトの令和3年の補正予算の項目には「防衛力強化加速パッケージ」と明記されて以下のように記されている。
「令和3年度から防衛力強化を加速できるよう、令和4年度予算と合わせて、令和3年度補正予算においても、現下の安全保障環境に対応するために必要な事業をしっかりと確保する」
つまり、堂々と翌年度予算と当年度の補正予算の一体化を謳っているのだ。
令和3年度補正予算の総額は7,738億円と巨額だ。そのうち本来の補正予算に当たるのは令和3年7月及び8月大雨の被害を受けた自衛隊施設の復旧の25億円、自衛隊による海賊対処行動や大規模接種センターの活動も踏まえた自衛隊病院等の運営等に必要な経費、原油価格の上昇に伴う燃料費の増額の384億円(内海賊対処は本来本予算で賄うべき)。つまり7,738億円の内、本来の補正予算は最大でも409億円に過ぎない。殆どが本来は本予算で要求すべき予算だ。
その他の大部分は哨戒機、輸送機、ヘリコプター、地対空ミサイル、空対空ミサイル、魚雷、トラック、個人装備などの装備関連や、基地などの施設費用、米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分など、いずれも本来は本予算で賄うべき予算だ。補正予算はその性質上、本予算に比べて手順が簡略されており、財務省の査定も甘くなりがちだ。つまり、政府は補正予算を打ち出の小槌として利用しているのだ。
実態としては、翌年度の防衛予算+補正予算(−本当の補正予算)=本当の防衛予算となる。令和4年度の防衛費は過去最大の5兆3687億円だが、これに昨年度の補正予算の「お買い物予算」7,329億円を加えると、6兆1016億円となる。
仮に、昨年の衆議院総選挙前に新聞などで防衛費概算要求が5.4兆円ではなく6.1兆円と報じられていたら、自民党や公明党は議席を減らしたのではないだろうか。無論、新聞やテレビなどの記者クラブメディアはこういうカラクリを殆ど解説してこなかった。これまた世論操作といわれても仕方があるまい。
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