根拠なき自民党の防衛費GDP比2パーセント公約
Japan In-depth / 2022年4月8日 23時0分
多くの政府の資料のグラフなどでは「防衛費」として表記されるのは当年の本予算の額のみである。補正予算の「お買い物予算」は含まれない。つまり、実際よりも過小な金額が掲載されているわけで、これをベースに議論をすれば事実を見誤ることになる。中国の国防予算は不透明だと政府もメディアも攻撃するが、日本の防衛予算も不透明なのだ。
防衛費のGDP比2パーセントの議論において、上記のような事項要求や、補正予算の「お買い物予算」も含まれるか。これについても筆者は岸防衛大臣に会見で質したが明確な回答がなかった。つまり政府、与党自民党、公明党、防衛省という当事者が、何をもって防衛費をGDP比2パーセントとするかという基準すら持っていないことになる。
出典:清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所 財政制度分科会(令和3年11月15日開催) 防衛関連資料を読むその2
そして、現状でも防衛予算は優遇されている。財務省では毎年財政制度分科会が開催されている。これは国の予算、決算および会計の制度に関する事項などを調査審議するものだ。その中に防衛分科会があり、そこで使用される資料が毎年公表されている。防衛省では出さない資料や都合の悪い指摘も含まれており、貴重な資料となっている。
この資料で防衛費が優遇されている事実が指摘されている。
財務省資料 防衛
防衛関係費と他の非社会保障関係費の動向(P6)
○ 防衛関係費は、厳しい財政事情の中にあっても、安定的かつ継続的に他の分野よりも手厚い増額を確保。
と、指摘している。平成27年度を基準にすれば防衛費の増額は約3400億円であり、「骨太」の歳出改革目安(非社会保障:2000億円)、公共事業約1,000億円、文教及び科学振興費約700億円と比べ、防衛費の伸びは3千億円と大きい。その他の費用が約3千億円マイナスで、それを全部防衛につぎ込んでいるような形となっている。つまり、今の状態ですら防衛費は長期的に相当優遇されているということだ。
更に申せば我が国の借金は1220兆円、地方まで加えると1600兆円以上だ。GDPの2~3倍と巨額である。そしてその返済が進むどころか、本年度予算も30兆円以上を国債に頼っている。将来の少子高齢化は待ったなしで、人口減によるGDPや税収の減少も進んでいく。果たしてこのような財政状態で、防衛費を2倍に増やす余裕はあるのだろうか。果たしてその原資は存在するのか。
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