「日本は国際情勢に対し当事者意識持つことが大事」 国際政治学者グレンコ・アンドリー氏
Japan In-depth / 2022年5月7日 13時0分
藤澤:ロシア軍が制圧したウクライナ南部において通貨や教育の強制、テレビ放送をウクライナのものからプーチン政権のプロパガンダを放送するロシアの番組へ切り替えが行われている。これについてどう思うか。
グレンコ氏:ロシアはウクライナ南部のへルソン州を併合するつもりであろう。そのためにへルソン州においてロシア本国と同じ支配方法を実行しようとしていて各地において民主的に選ばれた市長を追放し、その代わりにロシア軍が指名した人を新市長にして、行政も含めてすべてロシア式に切り替えようとしている。
藤澤:加えて同地域では親ロシア派の殺害を予告する張り紙についての投稿がSNS上で発信されているが今後も親ロシア派との共生は難しいか?
グレンコ氏:これからも両軍の戦いは南部では東部ほど大規模でなくても想定されるので、動向は戦況次第にはなるがおそらく長期化する。そのため現在占領されているへルソン州各地の解放はだいぶ先になると思われる。その中で占領された地域は激しい弾圧が行われていて、少しでもウクライナに忠誠心を持っている者は探しだされリストアップされ、捕まったり、拷問を受けたり、殺されたりとがすでに行われている。これからも弾圧は激しくなるとみられる。
■ ロシアの戦争宣言について
藤澤:ロシアは5月9日に戦争を宣言するとの報道もあるがこれについてどう思うか
グレンコ氏:その可能性は0ではないが9日まで1週間しかないのでこの1週間で宣戦布告するかはわからない。ただロシアが宣戦布告すれば状況はかなり深刻化する。
宣戦布告すれば本土において戦時体制案が発令されて、国家総動員令も同じく発令され、一般のロシア人が大量に徴兵されることになり、ロシアにとって兵力の大幅な増加となる。もちろん国内において不満も出ると思われるが独裁国だからプーチン体制を揺るがすことには繋がらない。また強制的に動員された者は戦闘力はなく弱いが数は多くなるためウクライナ軍が撃退できるかは不透明。加えて宣戦布告をすれば正式に法律上の戦争となるのでロシアによる核兵器の使用も視野に入ると思われる。これも絶対そうなるとは限らないが、状況を深刻化させることにつながる。
藤澤:ウクライナ侵攻は先ほどおっしゃられた通り、長期化するとみられるがどのようなきっかけで終わる流れとなるだろうか。
グレンコ氏:最近の流れを見ると和平の可能性はかなり低くなっているので最終的にはどちらかが勝利を収めるまで戦争が続くと思われる。例えばどこかで膠着状態、一時停戦となったとしてもあくまで一時停戦であって和平には繋がらない。必ず再発するので最終的にこの戦争はどちらかの勝利が確定するまで終わらないはず。
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