「日本は国際情勢に対し当事者意識持つことが大事」 国際政治学者グレンコ・アンドリー氏
Japan In-depth / 2022年5月7日 13時0分
写真)前線を視察するゼレンスキー大統領 写真に映っているのは西側から供与された携行式対戦車ミサイル 2022年2月17日 ウクライナ・ドネツク州
出典)ウクライナ大統領府
■ 日本の支援について
藤澤:先日、岸田総理はウクライナに対して新たに食料品や医療品の提供を決めたが、こういった日本の対応についてどう考えるか?
グレンコ氏:日本もかなりの支援をしている。もちろん食料品や衣料品は戦争中なのですぐ消費してしまう。現在、ウクライナでは食糧自給率が下がっているので自力で全ての食糧を調達できない状態。戦争によって畑の一部が荒れていたり、荒れていなくても人手が足りずに平時みたいな小麦の調達が難しくなっている。だから他国の支援は生命線になる。同じく医療品も死傷者が大量に発生するので常に必要かつ消費スピードが早い為、次から次へと新たな提供が必要であり、こういった支援は重要である。日本が厳しい制限の中でウクライナに対する支援を行うことを決断したことは高く評価する。
と同時に日本は内閣の決まり(注1)で兵器の提供ができないようになっている。これについては日本人が決めるべきことなのでウクライナとしたら強く言えないが、ただ新しい国際情勢の中で国内の決まりによって友好国に武器を提供できないのは現在の国際常識としては時代遅れの考え方なので日本も決まりを変えて友好国に対して武器を提供できる様な仕組みを定めることはいずれ必要であると考える。もちろん国内で多くの反対意見もあるが独裁国の横暴を許すことは日本の安全保障においても1番危ないことなので兵器提供も含めて多面的な他国への支援ができる様な体制が必要。その上でやるべき(兵器の提供を行う)かどうか判断すればいい。日本では全体的に自衛隊の装備品が足りていないという大きな問題があると多くの人が言うが、この問題を一刻も早く解決するため防衛予算を大幅に増やすべきではないか。
藤澤:他にも日本は厳しい規制の中でウクライナ難民の受け入れを行なっているがこれについてはどう評価するか。
グレンコ氏:この厳しい規制の中で避難民の受け入れを決断したことは大事な一つの取り組みだと思う。ただ日本への入国ルールはウクライナ難民にとっては他国の難民より簡単になっているが依然として厳しい為、ヨーロッパの国々の負担を軽減する為にももう少し受け入れてもいいと思う。今はどちらかと言うと日本に関係者がいる様な人を優先的に受け入れている。これは最初は仕方ないと同時に日本に縁がない人でも希望があれば難民として入国できる体制を作って何人になるか分からないが少なくとも1000人(今は600人ぐらい)かそれ以上の数の人が日本に来て危険な状況をやり過ごせる様にするという取り組みをしてもいいのではないかと思う。私が把握しているなかで日本の難民への支援はかなり手厚いのでそれは高く評価する。
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